無断で外出をする人への支援



支援者から見ると、事業所の支援中に、
勝手に出かけるのは無断外出。

ご本人から見ると、
用事があって出かけるだけ。

この違い。

でも、彼らは、無断外出をしたといわれ、
怒られ、問題扱いされるわけです。

管理下にいるからでしょうね?

ですから、
無断で外出をしてほしくないのであれば、
彼らの希望があった場合に
外出できるルールを
決めることはできませんか?

いやいや、外出自体だめだ!なんていう事業所も
あると思いますが、
それは、何か起きたらどうしようと
心配だからだと思うのです。

その安全に関して言えば、別な課題です。

外出をしたい理由を聞いたことがないのでしたら、
まず、それは、確認をしましょう。

たとえば、作業中だからダメとか、
一人じゃ危ないからダメ
と言うことを先に言うのではなく、
その方が外出したい意味や
気持ちを確かめてください。

理由を言ったら止められてしまうから、
無断で行くのです。

私が知っている人はそうでした。

必死になって、
出かける瞬間を狙っていました。
職員がいない隙を狙ってみたりしていましたね。
表情も険しく、必死でした。

でも、無断外出ではなく、
堂々と玄関から「行ってきます」と
出かけることができるようになったのは、
そういう支援があったからこそです。

こういう人がいた場合、
最初は、なぜ外出したいのか確認を取りました。
その理由の上に立てば、
外出したくなる気持ちも
理解できるのです。

もし、外出が許可できないのであれば、
禁止するだけではなく、
いつ、どんな方法で、
目的を達成するための行動が可能か?
を明確にしていただきたいのです。

そして、その日にしかできない用事なのであれば、
実現する方法もさぐっていただきたいのです。

もし、別な日に外出することで可能であれば、
行きたい気持ちと、我慢する気持ち。
それを共感してください。
そして、別な日に行ける方法を提示してください。

行ける日までを楽しみに待つ工夫もしましょう。

もちろん、外出に関しては、ご本人と支援者だけでなく、
ご家族の確認が必要な場合も多くありますので、
ご理解いただくことは当然です。

また、帰ってくるときのことを想定してください。
実は最初から、うまく行かない場合があるからです。

約束通りの時間に帰ってこない。
日にちをまたいでしまった。
保護された。
など、ありうるのです。

ここでもまた、
時間通りに帰れなかった理由があるのです。

このような場合でも、帰ってきたのですから、
怒らないことと、
次の外出も許可をするという気持ちでいましょう。

怒るとやはり無断外出と変わらない状況を作ります。
また、次の外出がなくなると、
やはり、無断外出は続きます。

ですから、怒らないし、
次の外出も補償するということです。

支援者は本当に心配だと思います。
帰ってこない想定をしなければならないわけですから。
(私も心配でした)

そこで、帰ってくることにつながるスケジュールを
入れるということも提案です。

例えば、その人の好きな行動は
充分にしていただいたうえで、
家に帰るとか、どこかで待ち合わせをするとか、
そういうスケジュールです。

ただ家に帰るだけでは、インパクトが弱いので、
何かを買い物して持って帰るとか、
帰ってきたら好きな外食をしよう!とか、
その人ができる範囲の約束(スケジュール化)をすることです。

最初からうまくいかなくても、繰り返ししていくことで、
その人の安心感となり、
うまくいかなくても外出させてもらえるという気持ちから、
だんだん上手に時間配分ができるようになりますよ。

というのは、次があるという気持ちだと思います。
失敗は成功の素。
経験を積んでいただきましょう!

ご本人は、成功感をもって、
次につながるわけです。

彼らがしたい行動を
やらせないのではなく、
実現できる方向で考えていきましょう!

外出する人にとっては、理由があります。
施設と家の往復だけではない生活のうるおいも
かなえてあげたいと思いますので、
外出して帰ってこれるように、
準備をしていきましょう!