自立を意識するための支援を開始しよう



知的障害がある人たちは、
まわりの支援を受けつつ
生活していることが非常に多く、
特に親御さんとの同居率も高く、
生活そのものが支援者なしには
成り立たない状態です。

もしも、家族がいない場合には、
入所施設やグループホームといった場所に、
入所(入居)する人も多く、
一人暮らしを考えるご家族は、
あまりいません。

しかし、軽度の人を中心に、
一人暮らしをしている人もいます。

特に自宅があり、
ご本人が就職をしている場合や
ご家族の遺産相続により、
そのまま家で一人暮らし
という方もいます。

家族がいるうちには、
わからなかった、
彼らの生活の困難さは、
こういう状況になって初めて
現れます。

特に、
支援が大きな部分は、
お金の管理
薬の管理
食事の準備
掃除
洗濯
入浴
時間の管理
各種手続き
など、
家族がやっていた部分です。

そうなることを知らないで
家族と生活していたご本人にとっては、
とっても大きな変化になることでしょう。

そこで、
親亡き後どうするかという話に
なるのです。

親としては、
どうしようか?ばかりで、
「こうすることに決める」
という具体案がない場合も
非常に多くあり、
期待できない可能性もあります。

でも、ご本人たちはどうなのでしょう?
親御さんが、
「親亡き後」を考えられない状態でも、
自分が一人になった時を
想像することはできます。

自分はどんな生活をしていきたいのか?
という質問は、ほとんど
していないのではないでしょうか?

となれば、
ご本人が、おひとりになった時の生活について、
親御さんばかりをあてにせず、
彼らと関わっている家族以外の支援者が、
一歩踏み進んだ自立の想定を
していくべきなのかもしれません。

これは、親御さんが全く準備を
していなくても
ご本人に対しての支援ですから、
自立の基本となることとして、
様々な支援機関で進められます。

さて、親亡き後に、
自分が一人残るという想定の
意識を持てることは、
重要なことだと思います。

一人暮らしするために、
自分が、自分の生活や人生を
支援者も含めて、
自分で考えることです。

人が考えるのではなく、
自分が人生を組み立てる。

そんな経験も少ない彼らですから、
支援者は、機会を作っていくべきでしょう。

時間もかかります。
今日言って、今日できることではありません。

支援者自身が、
そういう認識のもと、
自立目的に、
「あなたはどうしたいのか?」
という投げかけをご本人に
していくことの繰り返しなのです。

「あなたは、どうしたいの?」
「あなたは、何がほしいの?」
そう質問をすることです。

「どういったら、
相手にわかってもらえるか?」
と、考えられ、
自分の持つ言葉で、
説明できるまで待つことも必要です。

つまり、彼らにも
伝える技術が必要なのです。

自己決定
自己選択
それを伝えること。
もちろん支援が入りながらも。

それを、実際に、
自分の生活の中で決めることは、
事業所の中でよくやる、
食事の内容を決めるとか、
活動を決めるだけではなく、
やりたいけどやめておくとか、
うまく行かないけど、
もう一度チャレンジするとか、
我慢するなど、
応用力にも
つなげたいことです。

ひとりになって、
何も自分のことが伝えられないとなれば、
それは、一人暮らしにも支障が出ます。

特に大事なのはSOSですね。
そして、
自分はこうしたい。
こんなことは嫌だ。
難しい。
手伝ってほしい。
様々なシーンを乗り越えられるスキルに
つなげてほしいのです。

まずは、
ご本人が、
自立を意識する支援。

そして、
様々なシーンでの、
考え、伝えるための支援。

一人暮らしはつらいものではありません。
いろいろあるかもしれませんが、
絶対に、自由で楽しいものになるはずです。

そのためにも、
今から、ご家族を頼らずともできる、
自立への意識の変化につながる
ご本人に対しての
支援をしていきましょう。