くんちゃん呼び



「くんちゃん呼びは、虐待にあたる」と
言い切っている方たちがいます。

私はそこまで言いきれていませんが、
大人の人でしたら、
社会的に見ても、
「さん」付けだと思います。

そして、「くんちゃん」付けがまかり通っていれば、
人権侵害を疑います。
人権侵害は、虐待へとつながりますから、
虐待とおっしゃっている方の考えは
わかる気がしています。

でも、それは利用者と職員という
関係性の中でのことです。

つまり相手に障害がある方でも、
関係性によっては、
違ってくると思うからです。

逆に、障害があるからと、
すべて「さん」付けとなっては、
おかしな話になります。

でも、社会的に見て、
支援が必要な人と、
サービスとして支援をする人の
関係性であれば、
「くんちゃん」呼びは避けるべきでしょう。

つまり、友達だったり、家族だったり、
知り合いのお子さんだったりといった時には、
「くんちゃん」呼びの是非は、
別な次元になるということです。

さらに、小さい頃に知り合った学校の先生などは、
大人になった彼らに公的な場で、
「くんちゃん」呼びしては、
いけないと思っています。
(よく進路の先生が施設に訪れて、
昔の担任の利用者を呼び捨てだとか、
くんちゃん呼びしてるのです)

なぜ、「くんちゃん」呼びをするかという点については、
いくつかの理由にわかれると思っています。

1.親しみを持って接したいから。

2.「くんちゃん」じゃないと通じない。

3.ご家族が、「くんちゃん」呼びをしているから。

などです。

まず、
1.親しみを持って接したいから。
という理由ですが、
それは、勘違いもはなはだしいです。

そう言う理由づけをして、
知的障害がある人を小ばかにしています。
そして、下に位置させています。
友達ではないのですからやめるべきですが、
「くんちゃん」呼びをすることで、
彼らが楽しい雰囲気になって、
「信頼を価値とってる」と
勘違いしているのではないでしょうか?
そんなことで信頼を勝ち取ると思っている時点で
間違っています。
信頼は、きちんとした支援をすることで、
将来的に得られるものですから、
お間違いなく。

2.「くんちゃん」じゃないと通じない。
ですが、これは相手のせいだとばかり言いたげですね。

今まで、そう呼ばれていたから、
下の名前でないとぜったいに通じないという人がいますが、
そんなことはありません。

切り替えの時は、誰でも発生しますから、
切り替える手順を踏めばいいのです。
例えば私がした例ですが、
「下の名前+ちゃん」でしたので、
たしかに、名字で呼んでも反応しませんでした。

そこで、「フルネーム+さん」で呼ぶようにしました。
最初は名字の所に反応はなく、
下の名前に来ると反応がありました。
それを繰り返していると、
名字がわかってきたようです。
そして、何日もたってから、
「名字+さん」で呼びましたら、
こちらを向きました。
これで、名字+さんの呼び方が理解でき、
名字で呼べるようになった方です。

また、20歳を境目に、
「くんちゃん呼び」から「さん付け」に変更をすることを
事前にお話ししておき、
誕生日以降変更した方もいます。
自閉症の方など、
スケジュール的に取り組んだ方が
うまく行く場合もあるようです。

「くんちゃん」呼びは、
だいたい下の名前で呼ぶケースが多いので、
こういった段取りもやってみてはいかがでしょうか。

3.ご家族が、「くんちゃん」呼びをしているから。
の場合ですが、支援者としてのプロ意識もないですね。
こういう方は、
ご家族が「悪いことしたら叩いてください!」と言うことに
どう対処しているのかな?と思ってしまいます。
つまり、自分のしていることは、
ご家族のせいだとでも言いたげに、
プロとして、どうするべきかを考えていません。
ご家族が言っていても、
駄目だと判断した場合は
ひるがえすことだってあるのです。

ご自身や法人が、
人権についてどうお考えなのかを
もうすこし、踏み込んでみるべきです。

大人の世界ですから、
「くんちゃん」呼びにしている理由を
誰かのせいにして正当化せずに、
彼らの人権を考えましょう。

人権の側から考えていくと、
「くんちゃん」呼びは、
なくなっていくのではないでしょうか?

支援というサービスの担い手であるという視点を
持っていきましょう。