お金を稼ぐ意識を持つ作業の支援



知的障害がある皆さんで、
お金が欲しくない人はいません。

「ほしいですか」と聞けば「ほしいです」と答え、
「いくらほしいですか」と聞けば、
「たくさんほしいです」と答えます。

では、「たくさんお金を手に入れるためにどうしますか?」
と聞けば、
「お仕事がんばるー」
「一生懸命やるー」
「職員の言うことを聞くー」
などと言う人が多いのではないでしょうか?

でも、どんなお仕事の仕方が、
どんなお金を呼ぶのか?
よくわかっていない人も多いことでしょう。

だから、言われたことを
ただやるだけになっていて、
主体的に、
お金を得る原動力としての働きを
していない人もいます。

これは、
彼らが、
自分で理解することが難しい部分ですので、
職員が意識をして、
伝えていかないと、
彼らはいつまでも、
職員が言ったことをするだけの人になります。

多く稼ぐには、
多く稼ぐだけの
利用者の皆さんの働き方があるので、
商売人として、
又は、
製造者としてのふるまいを
支援をしていきましょう。

そこで、
作業をするだけではなく、
作業に関してのお話をする時間を設け、
どんな仕事の仕方がよいのか、
どんな商品を作るのが良いのか、
お客様にはどんな風に接することがよいのかなど、
様々な角度から、
作業を捉えられるようにしていくことです。
しかも、お金に結びつくための意味を持ってです。

例えば、
うちの施設がしている作業(縫製)に関しての話の一例です。

・作業効率をあげる
・材料の無駄遣いをしない
・自分が買いたくないと思った縫い方は、やり直し
・作れば売れるから、たくさん作る
・困った瞬間に職員を呼ぶ
・間違いと気づいたら、職員を呼ぶ
・できることをする
・できることは自分でする
・できるという気持ちでやる
・練習は納得いくまでしても良い
・やりたくなかったら、やりたくないこともOK

などです。
こういうことで、稼ぎが多くなると話しています。

特に、作業効率は、
・慣れて来たら、徐々にミシンのスピードを上げる
・一気にやってしまったほうが良い場合は、
 いくつもの商品のその工程だけを繰り返しやる
・間違ったまま縫っているとやり直しになることが無駄なので、
 間違いに気づいたら職員を呼ぶ
・指定された縫い幅よりも細かく縫わないことで、
 先に進む(材料の無駄も省く)
などのことで、
効率がよくなれば、生産量が上がったり、
無駄が省ければ、コスト削減にもなり、
工賃が上がります。

ですから、
お金をたくさんもらうためにと
お話ししています。

この話は、軽度だから
と言うことではないですし、
どんな作業でも、
行なっている人の
気持ちの入り方で変わりますし、
気持ちの入り方を変えられるのは、
支援者ではないでしょうか?

以前、昼寝をしている人が
たくさんいる施設に勤務しました。

やる気が全く見えませんでした。

作業をすることで、
お給料が上がる話をしたり、
納期があることを話したり、
お金が欲しくないのかも確認しつつ、
作業をすることが、
その人にとってどんな風になるのか、
イメージをしていただき、
午後から昼寝をしている人がいなくなり、
お給料も上がりました。

また、大口注文が入れば、
みんなの力が必要だからと納期なども話し、
やり切れるかを確認したり、
毎日作業を始める時は、
にこやかに始まり、
できるよ!大丈夫だよ!と盛り上げ、
やり切ったことで、
自信がついたこともあります。
(この時は納期に間に合わなければ、
赤伝票を切るという条件の仕事でした)

よりよい作業をしていくことが、
お客様を喜ばせたり、
企業から信頼を得、
工賃に結びつき、
ゆくゆくは、
自分たちに返っていきます。

自分たちの作業が、
どんな意味を持っているかを
確認するだけでも、
気持ちが変わってくる彼らですし、
逆の言い方をすれば、
私たち支援者が、
作業の意味も伝えず、
ただ、やらせている結果、
意味のもたない作業となり、
時間をやり過ごしているだけなのかもしれません。

自分自身の中で、
意味を持って、
作業をする。

その意味が自分を作る材料にもなることでしょう。

稼ぐぞ!
だけではなく、
意味がわかれば、
お金が増えていくことも経験できるのです。

彼らの気持ちを
動かすには、
私たち支援者次第です。

できることをする。
そのためにできるように支援する。

気持ちが続くように支援する。

日々の積み重ねは、
彼らを
成長させることでしょう。

職員が残業している意味は、
全くもって意味がありません。
そんなことで、工賃が上がっても、
何のよろこびにもなりません。

彼らが自ら稼ぐことです。
彼らの力を侮ってはいけません。

ものすごい力を
埋もれさせてはなりません。

経済を動かす原動力にもなります。
そのための1歩を支援していきましょう!