自分のスキルを人に伝える役割もある



知的障害者の支援をしている職員に対して、
先輩や上司と言われる人たちは、
後輩や部下の人たちに
自分の持っているものを
どのように伝えているでしょうか?

ただただ、姿を見せているだけで、
伝えることを意識していない人もいると思います。

でも、
ここは先輩として、上司として、
また、経験年数が多いものとして、
また、先輩上司でなくても、
人生の先輩としても、
同僚に伝えるのも自分だと思える自分に
なってみませんか?

あなたの立場は、
何をするべきかと
書いてない部分ですから、
自分に自信がない人は、特に、
自分には伝えられないなどと
思っているかもしれませんが、
あなたの力量の中での役割であると
思っていただきたいのです。

あなたが、利用者の人に接することは、
あなたの自己満足ではないはずです。

その利用者の人を
今以上に幸せにしたいとか、
今以上に障害が減ったり、
社会生活が楽になったり、
様々な支援のために、
私たちは支援者として仕事についているのです。

毎日一緒にいるわけでもなく、
休んだり、
することもあります。

グループ分けが変わったり、
異動があったりで、
いつか、私たちにも
終わりが来て、
誰かに託して行くときも来ます。

支援というのは、
ひとりで行うものではありません。
名人芸のごとく、
あなただけができる技でやることでもありません。

集団でするもので、
誰がその場の担当になっても
できるような支援内容でやったほうが、
様々な人が関われるわけです。

レストランで例えましょうか。

ある料理は、
そのシェフにしかできないとなれば、
そのシェフが休んだ時は、
お客が望んでも、
料理は出せなくなったり、
そのシェフがやめてしまったら、
永久にその料理が
出せなくなってしまうようなことはしません。

誰でも作れるように、
日々の中で学び、
後輩育成をして、
その技術は後世に引き継がれるものになります。

私たちの支援は、
マニュアルがあるわけでも、
料理のようなレシピがあるわけでも
ありませんが、
自分が持っているスキルを
他の職員に伝えていくことは
できる部分もあると思うのです。

ですから、
あなたが自信がないかもしれませんが、
今の現状、どんな支援をしているかは、
後輩や部下だけでなく、
皆さんで共有する情報として、
組織全体で使えるものにしていくことが望まれます。

その際、
もう一つ、
イメージをしていただきたいのが、
あなたの支援技術を
どのように相手に伝えていくか?です。

つまり、
そのままをコピーしてもらう方法と、
ざっくりとしたやり方を教えるにしても、
あとはその人のアレンジで、
支援をしていただく方法です。

先ほどの料理と違うのは、
支援は、その人その人にオーダーメイドですし、
どんな支援方法がよりよいのかは
ご本人に選んでいただくものなので、
ある程度の、
基本を伝えた後は、
その職員が、自分なりのスパイスを
入れるのは良しとしてください。

ですから、マニュアルだけではなく、
どの職員も自分らしさを加味できる
くらいのものであってもよいのです。

誰も近づけない神業ではなく、
その人の範囲と思っていただくことで
良いと思います。

支援の統一というのは、
するべきではないと思っています。

というのは施設は社会の縮図ですが、
彼らにとっては、大きな社会であることもあり、
様々な人が様々なかかわりをすることで、
彼らにも選ぶ権利があるからです。

全てが同じ支援をしてしまい、
それが間違いであったり、
その人にとっては、
もっと良い支援がいいなと思ったとしても、
みんなが同じであれば、
それ以上を望めなくなります。

でも、同じ方向性をむきつつ、
職員によって少しずつ違う支援は、
「このほうがよい」を言える
場にもなるからです。

ですから、
あなたからいろいろなことを
教えていただくことは、
その職員自身が、
自分はどうしたいと考えられる隙間まで
埋め尽くすことではありません。

アレンジ
応用

そういった技も持ちつつ、
その人が支援力を高められるよう、
あなたが持っているものを
伝えていきましょう。

そして、
それだけではなく、
応用して、使いこなせる
人になっていただくよう、
見守ることもまた、
あなたの仕事の一部と捉えていきましょう。