自閉症支援:なんでも1度で覚えられるわけではない



自閉症の人たちは、
一度理解すると、
作業能力も高く、
繰り返し作業の場合は、
同じようにできて、
スピードも速く、
きれいに仕上がるということが、
多く見られます。

実は、
この作業指示。
1度で覚えられるのは、
あたりまえではありません。

支援の仕方が
よくないと、
彼らは1度では覚えられず、
わかったような返事もしますが、
できないこともあります。
また、1個目はできるのですが、
2個目ができないこともあります。

どうしてできないかと
分析してみると、
工程数が多いことや、
あいまいさがあるものには
難しかったりし、
その次のものも同じように
できないことがあるようです。

やはり支援者の支援の仕方なのです。

まず工程数ですが、
同じ形の同じところに
加工するなどという仕事であれば、
わかりやすく、1個できたら
次もまったく同じなので
そこから先は間違えなくやることが
多くありますが、
一度に何工程もが入るやり方だと
混乱をする時があります。

そういう場合は、
工程数を少なくしていきます。

例えば、3工程あるものを
100個作るとします。
1工程だけすべて(100個)作ってから、
2工程目に入るという方法であれば、
わかりやすいのです。

これを、
1個目を1~3工程までやって、
次に2個目を1~3工程までやって、
100個作るという方法は
わかりにくい場合があります。

このように、同じものでも、
作業の仕方によっては、
全くできないものに
なってしまうので、
工程を分割する方法は
自閉症の彼らにとっては、
良い方法なのです。

100個という数が同じで、
間違いなくできることが目的ですから、
1~3工程を一気にすることを
目的としないことです。

彼らも慣れてくれば、
1~3工程ができる日も来るかもしれませんが、
支援者が、最初からそちらに固執しないほうが、
よいのです。
作業がやりやすくできることの方が大事です。

そして、あいまいさのものです。

あいまいさがある作業は、
けっこうあると思うのですが、
それを、同じ物として
とらえられるように、
具体的な指示がほしいですね。

違う形のものを袋に入れるなども
あいまいさの中に入れてよいと思います。

この手のものは、1回教えて、
ご本人ができるか確認しますよね?
それで、できたと判断し、
ご本人に任せた場合、
2回目から
まったく違うことをしている場合があります。

どうしてそういう風にやっているのか?
と思うかもしれませんが、
それは、
あいまいさが原因ということが
ありえます。

支援者の言葉(指示)が
あいまいな時もあります。

例えば、
封筒に入れるためのA4の紙を
3つ折りにするというときに、
だいたいでいいわけです。

でも、だいたい3つ折りにするというのは、
あいまいすぎてわかりにくいもののようです。

「だいたい5センチくらいかなぁ?」などと言わず、
「5センチの所を折る」のような、
具体的な言い方や指示をするのと同時に、
5センチを定規で見せてみるとか。

または、どこかに印をつけるとか、
この文字列のところに合わせるなどの
方法を伝えることで、
わかりやすさが、倍増します。

このように、
あいまいさを具体的な形にすることで、
1回でわかるようにもなりますので、
ぜひ、ご自身の指示の仕方を
工夫してみましょう。

自閉症の人が、
作業でうまくいかない場合は、
難しくてできないのだと考えるよりも先に、
自分の支援の仕方を、
再チェックして、
もう一度トライしてみてください。

あなたの支援方法ひとつで、
できることが増えていくので、
いろいろな作業方法を
検討してみてくださいね。