津久井やまゆり園コンサル報告(その1)



*この記事の題目に(その1)と書いていますが、
(その2)の記事があるかどうかはわかりません。

2018年4月18日と5月25日に
津久井やまゆり園に
行ってきました。

今年度に入り、
当法人に対し、
津久井やまゆり園の職員たちが進める
意思決定支援のアドバイサーとして依頼があり、
同園に毎月1回程度、
伺う予定となっています。

ここに書いたのは、
現場に出向き職員と話しながら、
感じたり願ったりしたこと。

利用者主体。
利用者の人権擁護。
そのための支援者支援。

私は、どこのコンサルに行っても、
そのスタンスです。

そして、ここに書いたことは、
津久井やまゆり園の職員だけに考えていることではなく、
どこの施設でも
意思決定支援や地域移行を進める際の
ヒントにしていただければと思います。

この記事は、
Facebookに投稿した記事をもとに
再構成し、記録としてブログに書き写すものです。

*****

【20180418 Facebook記事より】
私自身のスタンスとしては、
「意思決定支援」をしていくときの
応援隊として、
職員たちを支えたいと思っています。

入所施設として、何を考え、どう行動するか?
これは、津久井やまゆり園だけではなく、
どこの施設するべき課題だと思います。
だから、どこの施設も始めてよいのです。

ただ、津久井やまゆり園の場合、
社会が注目する施設なだけに、
「するか?しないか?できるのか?」
「いつまでにするのか?」と、
思われるかもしれませんが、
意思決定支援などというものは、
今日考えて明日実行できるものではありません。

だからこそ、職員たちには、
丁寧に利用者のことを考えてほしいのです。
周り、つまり「外野」の方を見てしまい、
焦る必要はないのです。
常に利用者を見て前に進んでほしいですし、
社会が、急がせる意味が私にはわかりません。

利用者の皆さん一人一人の意思を確認し、
今後どんな支援を受けたいかを明確にするには、
彼らにも今以上に自分の意志が表出できるように、
今まで以上にいろいろな経験も必要でしょう。

一人暮らし支援をしている私としては、
地域移行は簡単ではないことを
県や今回の一連の動きにかかわっている人たちにも、
わかっていただきたいと切に願うのです。

事件で様々な痛手を負い、
急な引っ越しもあり、
急激に変化を強いられた利用者の皆さんは被害者です。

その彼らに「事件があってちょうどよかったから、
地域移行しちゃいましょう!」と
言っているようにしか思えない私です。

本来であれば、家をなくしたのだから、
家に戻る。
そのあと、今までと変わりなく
支援を受けつつ、地域移行をする。
そういう順番だと思うのですけどね。

津久井やまゆり園は、通過型の施設です。
だからと言って、
簡単に地域移行ができる人たちばかりとは思えません。
地域に住めるのであれば、
もう地域移行しているはずです。

今だからこそ丁寧に関わることで、
ピンチをチャンスと変えて、
将来の自分を決めてほしいと思います。
地域移行がダメなのではなく、
いろいろな状況を考えたうえで、
丁寧にきめ細やかに。

「社会の都合」や「理想」だけが
先回りしないことを切に望みます。

それには、
住むところの前に、日常の中で、
いろいろな自己選択・自己決定も、
進めてほしいですね。

「今日は何が食べたい?」
「今度はどこに行きたい?」
「これがいやだったんだね?」
「もう一回やりたかったのね?」
「今日はお風呂に入りたくなかったんだね?」
「あーいらいらしちゃったんだねー?」

そういう積み重ね。

だからこそ、職員たちには、以下を希望します。

・職員が頑張ってやろうとするのではなく、
できることの中でしていただきたい。
・省けるものは省き、
必要になった時に足すというイメージを持って、
資料・書類作成をしてほしい。
・体裁を整えるような
無駄な時間をとるものは省く。
・「難しい・○○だから・大変」
という言葉はできるだけ使わない。
・まずは記録の練習からいきましょう。
「○○の支援をしたから△△の行動になった」
・過去にこだわらない。
・今と未来を見る。
・言いたいことを言えずにあとで、
愚痴ってもしょうがないから
意見は言いましょう。

ということ。

そして、1か月に1度を12か月間にわたり、
コンサルを続けますが、
その間に瞬時に質問したり相談するために
Zoom(Web会議室)を体験していただきました。
これを使うことで、
速攻解決できることもあるでしょう。

意思決定支援には、
ただ単に自己選択・自己決定だけではないです。
今できることは自分でやってみる機会もどんどん欲しいです。
「これって難しいなあ」も感じていただく。
「これは難しいから、支援が欲しいなあ」も感じていただく。
何でもやればいいってもんじゃない。

そんな彼らの人生の中で、
どこに住む?誰と住む?
どんなサービスが必要?も
見えてくるかもしれません。
彼ら一人一人の自立と
いうものも見ていただきたい。

そして、職員は、質問力の向上も大切です。

彼らの彼らにあった「自立」と、職員のスキルUP!
重度の方でも意思はありますし、
重度だからこそ、意思表出の気づきのために
職員が持つ視点があることも事例を上げて話しましたけど、
重度だからできないのではなく重度の方でも、
体全体で意思の表出をしますので、
今まで以上にそこに気づける職員になってほしいです。

それから、その人が、
入所施設に入った時点で、
ほとんどが、
ご本人の意思で入ったわけではないですね。

でも、いまさらそこを
論議していても意味がありません。
そこは条件。
過去は変えられません。誰も責められません。
過去にこだわらず、前を向きましょう!

職員たちが、この支援をやってよかったと思える、
心地よい疲労感になればいいなあと思います。

さあ、125名の利用者の意思決定支援を、
職員が楽しみつつ進んで行くことを目指し、
職員たちに寄り添いますよ!

【20180525 Facebook記事より】

住まいだって、働く場だって、
変えることの保証ができれば、
まずは、とりあえず入るという選択だって
ありなんじゃないかなあ。
  
ほんとに私の考えることって、
申し訳ないくらい支援者の都合なんか
考えてない(笑)
  
意思決定だってそう。
軽度だから意思決定ができるかって、
そんなことないのです。
軽度だからこそ、周りを見てしまったり、
できないと思ってしまったり、
自分の意思に反することなんか、いくらでもある。
  
重度だからできないのは、
支援者が「重度だからできない」と
思った瞬間に起きるのです。
 
軽度のほうが意思決定できて、
うらやましいなあと思った時点で、
支援も滞ってしまうかもしれないのです。
 
だから、
この人たちの障害の程度は
「条件」なんです。
その中で、うまく支援ができるかどうかは、
支援者次第なのです。

重度とか軽度とか関係なく、
支援者の支援方法によって、
変わるのです。

重度の人でも
自分の意思をはっきり表現する人はいるし、
軽度の人でも意思を言えない人とも
いるということなのです。
 
彼らはほんとに、
経験の中でしか選びにくいのだから、
配慮は必要でしょう? 
やり直しができるってことは、
安心につながるし、
そのやり直しは、
わがままじゃないです。
 
それこそ、
芹が谷や千木良に作られる部屋のモデルルームでも
建ててくれるわけじゃないですよね?
見たことがない「住まい」を選択の一つに出されても、
その時点で選びにくい。
ねえ、県の職員さん、そう思わないですか?(爆)

*****

(あくまでも私の意見を書いたまでです。
なお、津久井やまゆり園の職員たちの
意見ではありません)

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