知的障害がある人も
自閉症の人も、
「○時までに、○○に行く」
ということが、頭の中で分かっていて、
準備を怠ったり、
ゆっくりしているわけでもないのですが、
なぜか職場の開始時間に遅刻したり、
待ち合わせに遅れたりする人がいます。
このことについては、
例えば支援者と待ち合わせた時に、
遅刻をするわけですから、
「遅刻しないようにしてくださいね!」
などと声をかける程度になっている場合も
多くあると思います。
ご本人も「はい」とは言うものの、
遅刻をしようとも思っていないですし、
何が原因で遅刻になっているかも
わかりにくい場合もあります。
この原因が、
ご本人にもわからない。
支援者は、支援をしたつもりでしょうけど、
支援にはなっていないのです。
さて、このような場合、
ご本人は遅刻をしたことに、
迷惑をかけたと思ったり、
悪いことをしたと思う場合もありますが、
家で、何をどのようにしたら良いかが
わからないような人もいて、
改善ができません。
ですから、また遅刻をすることになります。
こういった場合は、
支援者が、
ご本人の生活のどの部分に
時間がかかっているかを
見てみてはいかがでしょうか?
その人は支障があるわけでも、
困っているわけでもなく、
なんとなく時間が過ぎている場合もあります。
例えばTVが終わる時間までは、
家から出られない場合もあります。
ゲームを始めてしまったら、
キリのよいところまでやってしまう人もいます。
こういう場合は、何時までと
先に決めてから、そのことをすることで、
時間の区切りをつけていきます。
途中でTVを切るのが難しければ、
録画することで解決するかもしれません。
ゲームなら、大物と戦うのに
どれくらい時間がかかるかを
調べておくとか、
朝は無難な部分しか進めないといった内容で、
いつやめても支障ない程度にするのも良いでしょう。
我慢をさせるのではなく、
折り合いをつけるといった感じで
考えましょう。
さらに、生活することの
一つ一つに時間がかかる人もいます。
こだわっている人もいるかもしれませんが、
自分のその行為に時間がかかりすぎていることに
気づかない人もいます。
洋服を選ぶこと、
着ること
歯を磨くこと
ご飯を食べること、
靴を履くこと、
家から駅までの時間など、
思った以上に
時間がかかっている場合もあり、
たとえば、支援者が駅まで10分で
歩けるからとイメージしていると、
ご本人は、歩く速度が支援者の倍かかり、
20分くらいかかるというもとは、
あり得る話です。
ですから、そういったひとりひとりの
時間の使い方を確かめる必要があります。
何に何分くらいかかるのか?
それを足していくと
どれくらい前に起きなければならないか、
何時からご飯を食べるか、
何時に家を出るか、
など、予定が立ちます。
つまり、逆算ですね。
これをご本人が一人ではできないかもしれません。
今、一人でできてない場合、
親御さんが、
「早くしなさい」など声をかけていることで、
何とかうまくいっている場合も多くありそうです。
これでは、自立ではなく現状維持です。
問題が解決したわけではないのです。
ご自身でできるようになれば、
親御さんも穏やかな朝のひと時を
迎えられそうです。
朝は、お互いに気持ち良くすごし、
出発したいものですし、
時間に間に合うためにできることに着目したり、
短縮のアイデアが出てくるかもしれません。
遅刻しやすい人は
なぜ遅刻するのかを
分析すると、
どこに支援を入れればよいのかが
わかってきます。
原因に目を向け、改善のアイデアのために、
どんな方法が良いかは、
ご本人のできることや様々な工夫で
改善もできます。
そして、逆算の視点も持ち、
ご本人だけががんばるのではなく、
持てる力の活かし方もしていきましょう。