「だめ」と言いながら、
「仕方ない」と思って許すパターンは、
自閉症の人に限らず、
子を持つ親であれば、
誰しもしてしまいがちなことです。
例えば、
スーパーで
「これ買ってー」と叫び、
床を寝転がる子供に、
「だめよ!」と言いつつ、
子供の行動を止めるために、
「しょうがないわね」と
ほしがるものを買ってしまう親。
例えば、
「TVゲームは、もうやめなさい!」
と言って、
大暴れしようものなら、
その場を放置する親。
だれでも1回は経験していることだと思います。
やりたいことをダメということで、
パニックになってもこまるので、
許可をしてしまう可能性も高いのです。
このような、否定をしても許してしまう支援者の行動が、
自閉症の人にとっては、
よい支援ではありません。
支援者がそういう行動をすれば、
自分の要求の仕方は正しいと
解釈してしまうからです。
つまり、こういう方法で要求をすれば、
自分の欲しいものが手に入るんだ
という学習をするのです。
でも、あなたは、いつものスーパーで
いつもの方法で要求をされたら、
どうやって回避してよいかが、
わからないのかもしれません。
だから、ほしがるものを買ってしまう。
どうやってゲームをやめさせたらよいかも
わからないのかもしれない。
だから、一応言ってはみるけど、
放置してしまう。
自閉症の人は、エネルギーを使いながら要求をしますが、
支援者の人は、エネルギーを使いながらそれを否定することは、
避けたいのです。
このような場合を回避するには、
事前という考え方が有効です。
例えば、買い物でしたら、行く前に
何を買うのかをはっきり示しておくことです。
リストを見せ、リストにあるものだけを買うということを
ご本人に納得してもらう必要があります。
買いたいものは、
先にリストに載せるというルールにして、
話し合いをしてから、買い物に行きましょう。
もし、その時に急に買いたいと思っても、
リストにないという理由で、
買い物はしないという気持ちを強くしておきましょう。
万が一、買いたいと言われた場合は、怒るのではなく、
リストに入っていなかったから買わないということと、
リストに入っていたら買うという確認をします。
残念だったね。
ほしいものは先に言っておこうね。
次の時は、リストにいれようね。
そんな約束の確認もしましょう。
この経験をすると、ほしいものは先に言っておくと
買ってもらえるという理解となります。
そして、リストに載っているものは買えるという経験もすると、
理解が進みますので、
買い物の前に言えるようになってきます。
また、ゲームなどは、はじめる前のスケジュール化です。
何時までとか、何時間とか、
決めておくことになりますが、
その時間になったらやめて次のことを
予定に入れておくことも大事ですから、
その人に合わせて作ってください。
ことが起きてから、
怒ってやめさせるというのは、
彼らの理解しにくい形ですし、
支援者が力で押し切る形はよくありません。
ご本人が、理解できるルールと
どの支援者ともできるルールが大事です。
事前の予定を確認することで、
ものごとを始める習慣を持ちましょう。
そして、仕方なく許可をしていかないように
様々なシーンでも応用していきましょう。