障害がある人への支援サービスは、
お金を払う人
サービスを受ける人
サービスをする人が、
どんなお金の動きがあって、
このサービスが成り立っているのかを
目の当たりにする仕組みがありません。
お金が自分たちの間を
行き来しないからです。
例えば、
パン屋であれば、
必要な材料を買い
販売して利益を得ます。
だから、その日、どれくらいの商品を作れば
お客さんに提供できるかがわかります。
余っていたら、材料費の無駄使いになりますので、
ぎりぎりのラインで、製造していきます。
もちろん、材料を買うのは、
お金がいくらあるのかを見極め、
その範囲内にするか、もしくは、
自分が返せる程度に、
借金をしていくことになるでしょう。
お客さんは、
自分でお金を払うので、
適量を欲します。
不要なものまで買おうとはしません。
そして、お金がないのであれば、
買わないという選択もします。
直接支援をする人は、
福祉予算などというものは、
あまり気にしていないことでしょう。
サービスの受け手も、
自分で支払うのは、
すべての額ではありませんし、
実質無料というところもあります。
総額どれくらいのお金が動き、
自分以外の人がサービスを
欲しがっているかもわかっていません。
福祉はタダのイメージもあると思います。
さて、
パン屋さんとは、全く違う仕組みではありますが、
自分たちの業界に当てはめて、
「適量」を見ることも必要になってきています。
障害者支援業界を支えている自分たちが、
今、危機感をもって意識しておきたいのは、
資源と言うことも頭の中に入れつつ、
自立を促すことです。
どこの行政も税収入が、減少傾向の中、
もっとサービスを!と思っていても、
頭打ちになっています。
だからといって、
他の予算を減らしなさいという話しではありません。
例えば、月30時間のヘルパーがついていたからと言って、
来年度も、同じ30時間分のヘルパーがつくとは限りません。
去年ついたのにと思うかもしれませんが、
管轄区域の予算が減れば、
それには当てはまりませんし、
全体で見ていきますので、
より必要な人やところに回す
ということになるでしょう。
となれば、
支援の結果、自立方向に
向かっていくことを想定し、
自立により、障害者支援サービスの提供を減少(終了)することも、
私たち支援者は、イメージしつつ、
日々の支援をしていくことなのです。
それはなぜか?
他にもサービスを必要としている人がいるからです。
例えば、今、一人の人だけの支援をしていて、
あなたの支援は
その人だけに100%提供しているとします。
でも、その中には、実は自立している部分もあり、
ただ単に支援という名で、そばにいるだけで、
本来いらない支援が、40%あったとしましょう。
その場合は、60%はその人の支援をして、
残り40%は、
他の人に資源として回すということです。
このように、
今、サービスを使っている目の前の人だけを
思うのではなく、
その地域の障害がある全ての人を想いつつ、
限りある資源というものが、
どの人に回るべきかを考えつつ、
今サービスを提供している人に、
必要な支援をし、
自立をしていただき、
不要な関わりは減らしていくことを
イメージしていただきたいのです。
サービスの減少や終了という声は、
直接的に届いていないかもしれませんが、
サービスが減った人からは、
そういう話を耳にしていますし、
行政を責めるべきでもないと思います。
サービスの提供しすぎである場合もあるからです。
どういうことかというと、
あなたが「支援をしている」つもりで、
不要なかかわりをしていたら、
自立も促せませんし、
サービスの提供しすぎなのです。
たとえば、
ご本人が1人でできるようになったのにも関わらず、
いつまでも、ヘルパーをつけていたら、
自立にも届きませんし、
サービスの提供しすぎというようなイメージです。
一人暮らしができるのに、
グループホームを利用し続けたら、
サービスの提供しすぎですね。
福祉財源は、お金だけではありません。
人も施設も足りなくなってきていますから、
資源の有効活用のためにも、
ひとりひとりの支援者が
「自立」をイメージして、
今関わっている人に回っているサービスを、
その人よりも必要な人のところに届くよう、
全ての人に対し、
自立に向けた支援をしていってほしいと思います。
だからと言って、
何でも急な自立はできませんよね?
ですから急にサービスがなくなって
困っている人もいますので、
常に、自分の支援で、
この人が自立に向かえるのか、
その視点を忘れずに、
日々関わり、
できることはしていただき、
できないことは、SOSを表現できることや、
ひとりでやってみることへのチャレンジを
わくわくしていただくような、
そんな支援をしていきましょう!
あなたの支援を
待っている人がほかにもいます。
限りある資源という観点からも、
その場をやりすごしているだけで、
支援をしているような気分に
ならないことを願います。