高齢になることを想定した支援



知的障害がある人は、
特別支援学校高等部を出る時までに、
「進路」というものを考え、
「企業に行く」や「施設に行く」などの
選択をする支援を受けます。

さて、そのあとはというと、
何事もなければ、進路の変更はなく、
企業であれば、定年まで、
施設であれば、70歳くらいまで
そこにいることになります。

すると、
高校の時に実習をしたり、
どんな進路にするかを
かなり悩んだのとは違い、
「次」を考えずに、
過ぎていきます。

そして、高齢になった時に、
次の進路を考えてこなかったツケが
回ってくることになります。

それくらい、
「老後」を考えずに、
長い月日を、
所属先で過ごすことになります。

企業は定年までの
働いている部分しか見ませんし、
施設は、今の活動状態を主とし、
その先がどうなっていくのかを、
後回しにします。

それでよいのかというと、
それでよいわけではありません。

特に障害者支援施設は、
「その先」を視野に入れた、
支援を入れつつ、
ご本人にも「老後」を
描けることができるような、
情報も伝えていく必要がありますし、
一生ここにいるわけではないことも伝えます。

また、日中にその施設に通っていた状態と
変わりますので、
なにか、別な趣味なども
持てるように提案もしたいところです。

健康に関しても、
職員は、様々な情報を
持つべきだと思います。

健康的な生活をしていくこと。
薬を体内にできるだけ入れ込まない形で、
自分の力で免疫力を持ち、
病気を寄せ付けないようにすること。

そのためにも、
どんな食べ物を食すか
どんな身体づくりをするかなど、
支援者が主導で
考える必要があります。

もちろんご本人にも
ご理解いただくように
説明していくべきです。

老後を意識した、
話しもしていき、
若い時とは違い、
身体が動かなくなっていくことも
伝えていく必要があるでしょう。

こうしたことで、
今を生きる彼らに、
「将来」も
想像できるよう
働きかけをしていくことです。

さて、これらのことは
知的障害のある人に対して
おこなうものですが、
あと二つ、
だいじなことがあります。

まず、一つ目は、
ご家族にしていただきたいのですが、
住んでいる地域に、
知的障害がある人の存在を
知っていてもらうことです。

これは、老後のためというより、
小さいころから意味があることです。

そこにいることを知ってもらうことは、
家族ではない人の関わりが出てくる時があるからです。
そして、家族ではないことにも
意味があるからです。

そして、老後には、
ご近所で過ごす時間も多くなるでしょうから、
その時のための準備です。

そして、ふたつ目は施設の職員に
していただきたいこととして、
高齢者施設職員との交流を、
ぜひお持ちいただきたいと思います

彼らは、老後に、
高齢者施設に行く可能性は高く、
高齢者施設の職員が、
「知的障害」や「自閉症」について、
理解していない場合、
今までのような支援とはかけ離れた
関わりになることも予測されます。

高齢者施設の職員に、
「知的障害」や「自閉症」について、
知っていただく機会は、
必要となっていますし、
私の知り合いの高齢者施設の職員さんも
知りたいと願っている人は多く見受けられます。

単に、文章を渡す程度のことではなく、
実際に、彼らにあっていただくことで、
理解を深めていただけるのは、
障害者支援事業所ならではの
使命でもあるのではないでしょうか?

地域の理解もそうですが、
こういった関係すると
思われる人たちへの
協力をしていくことです。

ゆくゆくは、
高齢者施設に
知的障害がある人たちも、
受け入れていただくための
準備でもあります。

まだまだ、メジャーではありませんが、
今から協力を惜しまないことです。

もちろん、
高齢者施設の職員と接することは、
先方のためだけではなく、
私たち障害者施設の職員としても
メリットがあります。

高齢になると、
どんな状態になるのかを
知ることができれば、
介護予防を
今からでも進められるのです。

このように、
今から、
様々な視点を持ち、
高齢になった時の彼らの生活が、
守られ、
困難が増えないよう、
そして、老後に対して、
ご本人の理解の他に、
さまざまな理解者が増えるよう、
取り組んでいきましょう!

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