入所施設から、退所し、
グループホームへの流れは、
全国各地で、繰り広げられているところです。
また、知的障害がある人のひとり暮らしも、
押し進められており、
入所施設が中心だった過去と比べても、
自分たちがする支援の種類や
質を変えていかなければ、
グループホームや一人暮らしを始める
彼らにとって、
かなり酷なことになってしまうところです。
彼らが、何でもかんでも
頑張ればよい話ではなく、
私たち支援者が、
今までの支援に固執せず、
「どんな支援を展開するべきか?」
を新しく生み出すことによって、
彼らの地域生活が成功するのです。
そこで、
入所施設を退所し、
地域生活を始める
利用者への支援について
支援者としての
気にすべき点を
書いておきましょう。
退所をするということは、
地域生活を送るということになり、
彼らが住む場所は、
自宅や親戚知人宅に戻る場合を除き、
ほとんどがグループホームや
単身での生活になります。
入所施設に入っている時点で、
日中の活動場所は、
他施設を利用していない人も
ほとんどだと思いますので、
入所施設を出るということは、
住まいと日中活動場所の
確保をすることになります。
この、
「住まい」
と
「日中活動場所」
というものがセットで考えられるため、
不適応が起きる方もいらっしゃいます。
住まいも、入所施設と同じ法人内であれば、
配慮もあると思いますが、
全く別法人の全く別な地域に
出ることもあるわけです。
そこでは、
新しいグループホームと
新しい日中活動先が、
同時に始まるわけです。
想像してみてください。
新しいことを始める時のエネルギーの
消費量を!
ものすごく疲れるでしょう?
緊張したり、
周りにどんな人がいるだろうか?とか、
そこのルールが、
どんなだろうかとか、
様々な不安を抱えつつ、
いろいろ覚えなければならないわけです。
しかも、2か所同時に
はじめなければならないのです。
まるで、
大学生や社会人になった時に、
ひとり暮らしを始めた時に
似ていますが、
彼らは、私たちのそれと比べても、
もっと大変なはずです。
それを同時にしていくときに、
どちらが優先になるかと言えば、
私は、「住まい」のほうだと思います。
「住まい」のルールや
生活になれることが先ですし、
その土壌があってこその
「日中活動」だと思います。
そう考えると、
まず、入所先を出る時には、
「住まい」を優先させ、
どこのグループホームや
アパートがよいかを考え、
安定して、大丈夫だろうと思ってから
日中活動先に通い始めるのも
よいと思っています。
日中活動先としては、
利用が決まってからの欠席は、
1人分の収入減になるかもしれませんが、
少し、慣れるまで
がまんしていただけると
ありがたいですね。
このあたりが同時進行ゆえ、
支援者も、両方探してはいるものの、
ベストマッチングとなりにくく、
また、開始しても、
急激な負荷がかかりすぎたことにより、
失敗してしまうこともあります。
入所施設から出たばかりだと、
様々なことを自分でやらなければならなくなり、
思わぬところでけがをしたり、
入所施設ではできると思っていたものが、
思いのほかできなかったり、
するものです。
たとえば、ゆがんだ道路を歩いていて転び、
大けがをする。
薬の飲み忘れや飲みすぎなども、
不具合のひとつです。
入所施設側も、
地域生活を送るにあたり、
今以上に自己管理部分を増やしていきつつ、
安心して一人でできることを
増やしていかなければ、
ならないのです。
たとえば、薬管理ですが、
入所施設側が管理した薬は、
その時間に出されれば飲みますし、
その際、職員が出し忘れれば、
数が足りないと言う人であっても、
何日分かの薬を自分で持って管理したとなると、
時間を見て
一つ一つ出して飲むのが
できない場合もあります。
全く違うスキルだからです。
入所施設でできていることというのは、
地域生活で、一人でやることの
ほんの一握りだと思っています。
だからこそ、地域生活を送るための段取りも
きめ細やかさが必要ですし、
出てからも、
あれもこれもとできるわけではないので、
福祉サービス側が、
事務的に、あれもこれもと
押し込むべきではありません。
ご本人の力量に合わせて、
グループホーム、
日中活動支援施設、
相談支援センター、
ヘルパー事業所、
入所施設など、
ご本人を取り巻く
関係事業所が連携して、
緩やかに始めていくべきです。
配慮が足りず、
失敗体験につながらないよう、
きめ細やかさと、
ご本人の意思確認とを、
充分に行いつつ、
体験なども
多くして、
進めてほしいと思います。
お互いの事業所が、
金銭的な減少や仕事量の増加などは、
一時のことですから、
度外視してください。
あくまでも、
知的障害がある彼らを
地域生活に移行するための支援として、
人間的配慮で進めていただきたいと思います。