職業としての支援。原点に戻ろう



例をあげれば、車いすの押し方が
一番わかりやすいかもしれません。

私たちは、車いすの押し方を
最初から知っているわけではありませんよね?

まあ、見よう見まねで、
やっているかもしれませんが、
なんでもいいわけではありません。

どんな危険があるかとか、
どうやって押したらここちよい動きなのかとか、
そういう部分には、実はコツがあって、
人によっては
「この人の押し方こわいな」っていうのがあるのです。

自分の中で、
これは良い押し方なのか、
悪い押し方なのか、
相手のことを考え、自分が車椅子に乗った気になって、
自分の押し方の確認をするわけです。

また、他の支援者の様子を見て、
どうやってあんなスムーズに押せるのかを
学ぶかもしれません。

それは、「車いすに乗っている人」が存在してこそ、
学ぶものだと思うのです。
そして、自分が押してみてわかることです。

もちろん、良い押し方か悪い押し方か、
ご本人に聞いてみるのが大事ですが、
ご本人は遠慮して言わない可能性もありますから、
やはり仕事として支援している以上、
自分で自分のやり方を
判断する過程は重要です。

さて、話しを本題にもどしましょう。

つまり、実際にやってみてわかることがあるのです。

たとえば、知的障害や自閉症の人たちにも、
私たち職業人は、「支援」という仕事をします。

最初からうまくいくほうが少ないのだと思います。

でも、彼らは嫌な顔せず、
私たちの未熟な支援方法に
おおらかに付き合ってくれます。

中にはパニックを起こす人もいます。

あーごめんごめんと思いながら、
今度はパニックにならないように気をつけようと学びます。

この繰り返しですよね?

本を読んだだけではだめ。
話を聞いただけでもだめ。

ご本人がいて、
私たちが実際に支援をして気づくことです。

ですから、できるだけ早く、
まっとうな支援ができる支援者になりたいわけです。

私たちがまっとうな支援をしようという気持ちの
持ち主であれば、
いわば、自分を育成する場は、支援現場であり、
私たちは、トライアンドエラーという状況を
通ることで、よりよい支援に結びつきます。

そういう日常の中で、
今日よりは明日のほうが、
もっと自分の支援がうまくいくようにと、
一歩前に出られるようにしたいものです。

あ~、彼らは我慢強い!
私たちの支援の悪さを責めることもなく、
我慢をしてくれるのです。

私たちは、自分のできなさを棚に上げ、
彼らのできなさを指摘し、
自分に腹立たしくなるのではなく、
彼らのせいにしてはいませんか?

そして、立場を見失ってはいないでしょうか?

自分は、なんでここにいるのでしょうか?
彼らに対してどんな支援をしていこうとしているのでしょうか?
職業人として、なにか欠落していないでしょうか?
何がしたくて、この職業を選んだのでしょうか?

そんなことを思いつつ、
支援者の原点に戻りませんか?

間違ってはいけません。

私たちは仕事として、
この仕事を選び、
それで生活をしているわけです。
今以上にスキルをあげ、
彼らによりよい支援を提供することが、
仕事であるはずです。

現場で、
自分自身を磨きながら、
利用者の皆さんに喜んでいただけるよう、
前に進もうではありませんか!

忘れていたのであれば、
原点に戻りましょう!