「わかった?」の確認だけでよいのか?



二人で歩いている、お父さんと女の子。

お父さんが横断歩道の所で、
女の子にに話していました。
「右見て、左見てから行くんだよ。
見ながら渡るんじゃなくて。わかった?」
「うん」

わかったかなぁ?

この手のことは、
知的障害がある方との会話でもよくあること。

支援者が「わかった?」
知的障害がある方が「はい」「わかった」

でも、支援者が思い描いた通りにできなくて、
「さっき、わかったって言ったじゃない!」
のような会話に続くのです。

「わかった?」と聞かれたから、
わかったふうにしただけです。

結構わかってない確率は高いですが、
その理由としては、
こんなパターンに分かれます。

1.
支援者が、こうするんだよ的な話をした時に、
わかったので「はい」という人もいます。
でも、いざやろうとすると、
頭で分かっていてもできない場合もあります。

2.
支援者が、こうするんだよ的な話をした時に、
怒られている感覚になり、
委縮して、とっさに「はい」と
言っている場合もあります。

3.
支援者が、こうするんだよ的な話をした時に、
「はい」と言っておけば、
この場を解放されることをわかっているから、
「はい」と言っている場合があります。

ほかにもいろいろな解説が出るでしょうけど、
代表的なこの3点。

本当に、重要なことや危険なことで、
絶対にわかってもらいたい場合は、
聞き流されては困るのでしょうけど、
その重要とか、これから起きることというイメージは、
知的障害の人にはわかりにくいのでしょう。

もちろん、支援者が話だけではなく、
実際身体を動かしたり、
一緒にやったりしながら、
見本を見せたり、
体験してもらう方が、
もっとわかるので、
説明だけして
わかるだろうと考える時点で
彼らには難しいことなのです。

でも、とっさに、
大事なことをどうやったら、
その方の知識や経験として
体に残せるのでしょうか?

それは、難しく言えば、
インプットとアウトプット。

何かの情報を、
自分の記憶にとどめたいときに、
復唱してみたり、
紙に書いたりしませんか?

情報を得た時点は、インプット。
それを言葉にしたり、
紙に書いたり、
ためしにやってみたり
人に伝えたりする時点は、
アウトプット。

その方法を使えば、
知的障害がある方も、
思いのほか、
聞いたことを自分のものにできる
割合が高くなります。

「今、私が話したことを復唱してみてください」
「私はなんて言いましたか?」
「これからどうすることにしましたか?」
「紙に書いてみましょう」

こういう質問や支援をさらに入れることで、
ご本人の記憶に残っているかも確認できますし、
もしわからないようでしたら、
別な支援に発展もできる事につながります。

インプットとアウトプット。

これは、どんな場面でも使えることです。

先ほどのような外では、
紙などもないかもしれませんから、
復唱の方法や体を動かしてみることは、
有効です。

わかった?と聞いて、
支援者が望むような返事をすれば、
良いのではありません。

相手に伝わっているのかどうか、
確かめたい。
そして、相手により深く伝えたい。

そんな時に、
使ってみてください。

伝わることは、
あなたが相手に合わせることです。

その人に応じて、様々な支援を工夫しましょう。