知的障害がある人に経験の機会を作ろう



本来、誰でもそうだと思いますが、
特に、知的障害がある人には、
経験の場を用意することが必要です。

それは、自分から、
選びながら経験することが
できにくいことが一番の理由です。

もちろん、一人で行動ができる人は、
経験の幅も広げやすいのですが、
考えることや
より必要な情報をとること自体に
苦手な部分もあり、
ご本人にとっては、充分と思っても、
支援者側から見たら、
情報が足りなかったり、
間違ったりしている場合もあります。

また、ご本人にできることが、
実は限られていることもあります。
考えることや情報の取り方の難しさで、
できない部類に入っていることもあります。

例えば、
これから、施設に入ろうと思っても、
ひとりで得られる情報と
あえて取りに行かなければならない情報があった時に、
あえて取りに行くことに困難な場合があると、
せっかくよい施設があっても、
その情報にたどり着かないということもあります。

ですから、支援者がついて、
ご本人のご希望に沿って、
ご本人にとってよりよい施設を選んでいくことは、
ご存知の所だと思います。

こういった、
ご本人の経験をするための情報が、
なかなかうまく取れない人たちですから、
経験するための情報の取りにくさに
障害があるということも言えるのです。

お金のこと
病気のこと
食べ物のこと
交通機関のこと
趣味のこと
学ぶこと
仕事のこと
こわれたものの修理のこと
コミュニケーションのこと
お店のこと などなど、

いろいろなことを
経験するには、
情報をとるということです。

彼らは、小さい頃も、
大人になっても、
好奇心旺盛の人ほど、
人に「?」で聞いています。

私たち支援者が、
彼らの「?」に対し、
いつの間にか、
私たちは面倒になっていないでしょうか?

そして、経験してもらう機会を
提供することにも面倒と感じ、
先回りして、
経験させないことも
増えていないでしょうか?

たしかに支援者側の都合というのも存在して、
特に親御さんですと、
様々な事情もあり、
あれもこれもと経験させることが
できない場合もあるでしょう。

そのご事情は分かります。

わかるのですが、
もし、可能であれば、
経験をする場を
提供してほしいなと思うのです。

たとえば、
魚には骨があること。

ものを落としたら割れてしまうこと。

言葉が使える人が、
言葉を使わないと相手に伝わらないこと。

ものを買うにはお金が必要なこと。

いろいろな機会があるのですが、
親のやさしさやめんどうと思うことで、
もし、経験をさせていないとなれば、
大人になって、一人になった時に
困ってしまうことにもなりかねません。

1度くらいの経験では、
彼らの記憶にも残らないかもしれませんが、
でも、その経験は身体が覚えていたり、
何かをする時に、
その経験が活かされることもあるのです。

たとえば、
失敗も
けがも含めて、
経験することが、
今後、気を付けるという、
命を守ることにもつながります。

どうしても、
支援者側が、
私がいるから大丈夫と思いがちですが、
本当にそれでよいのかというと、
間違いなのです。

今のうちに経験することが、
将来一人で困った時に
対処できたり、
SOSを発したりすることにつながります。

毎日の小さなことですが、
彼らの「?」や「わくわく」に
耳を傾け、
情報を整理して伝え、
経験する機会を作り、
一緒に
喜んだり、悲しんだり、
もう一度チャレンジしたり、
していきませんか?

彼らの可能性は、
私たち次第だと思います。

自立という未来を作るために、
今を大切に、
経験していただく機会を作ることです。

もちろんこれは、小さいころから。

そして、大人になっても、
彼らには初めて経験することが多く存在します。
ですから、ご自身でやろうと思えるチャンスは
活かしていきたいところです。

毎日のかかわりの中で、
笑顔で豊かな生活を送るために
経験という場を大切にしていきましょう!