作業ができなくなる日が来る前に



特別支援学校高等部を卒業し、
働ける人は、働くをイメージして、
進路を決めていくと思いますが、
そこで、
就職をしたり、
施設に通い始めることになり、
進路が決定します。

進路は、
この時に、
大きな決断をして決めることに
なると思います。

就職をして、
順調に行けば、
定年までいる人もいますが、
施設も、
働くことを中心に利用が始まり、
長い人ですと、
50年以上も
同じ施設にいる人もいるのです。

そのころには、
高齢ということで、
障害が大きくなる人もいれば、
病気を抱える人もいるでしょうし、
今までしていた作業が
できなくなることもあります。

私が、以前、勤務していた施設では、
70を越した利用者の人が、
満員電車で通勤をすることができにくくなったり、
病気のために、
歩くのがきつくなり、
横断歩道を制限時間内に渡れなくなったりで、
施設をやめるという選択をする人が、
複数いらっしゃいました。

でも、彼らは、この施設に来ることしか知らないわけです。

となれば、
彼らの想いは、
ここに来るためにと考えるわけです。

帰る時は、
「明日も頑張るから」
そんな言葉をよく言われました。

やめさせられたら困るとでも思っているのか、
「ちゃんと仕事しますから!」
という人もいましたね。

就労系の施設職員は、
この「老後」ということを
考えなければなりません。

先ほども書きましたように、
特別支援学校を出る時は、
次の進路を考えるための
「進路担当」でさえあるのに、
そこから50年後の
「老後担当」はないのです。

彼らには、
いつか仕事ができなくなることや、
いつまでも仕事をしなくてもよいことを
伝えるべきですし、
会社でいう定年のような状況の後に、
どんなことをして、老後を過ごそうかを
一緒に考えるべきだと思うのです。

そこでも、彼らは、
経験したことがないことは、
想像もしにくいでしょうから、
どうしますか?と聞いたところで、
何も思い浮かばないと思いますし、
作業以外のことをして1日過ごすことが、
どんなことなのか、
イメージもわかないと思います。

その時に急にではなく、
どんな将来を過ごしたいのか、
ある程度の年齢になったくらいから
話題にしてみるのは良いと思います。

自分の家族や、
TVに出ている人を例にしていくのは、
わかりやすいことでしょう。

そして、趣味は持っていたほうがよいでしょう。
しかも、一人でできる趣味もよいですね!

老後の代替えというイメージより、
仕事ではないことを選べるイメージ。

そんなイメージのほうが、
楽しみをもって、
作業を終わらせることもできると思います。

「老後、何やるの?」などという会話が
聞こえてくるようになれば、
これもまたイメージがわくと思います。

皆さんで話し合ったりする場ができれば、
他の人のヒントにもなるでしょう。

高齢者施設に行けばよいということではなく、
彼らのことをよく知っている支援者が、
イメージ作りに協力しておくことです。

生活介護施設があったとしても、
そこだけで考えることではなく、
「働いていた人の老後」ということは
また違うと思うのです。

作業ができなくなるということより、
作業をしていた人が、
次のステージに入る感じで、
楽しめるような老後を
イメージできるよう、
そうなってからではなく、
そうなる前から、支援していきましょう!