SOSを待っているだけですか?



「調子が悪かったら、言ってください」
「わからなかったら、相談してください」
「間違ったら、報告してください」
「困ったら、電話をしてください」

いろいろな、
SOSを言うきっかけ作りを
していると思いますが、
あなたが関わったその人は、
あなたの指示通りのことが
できるのでしょうか?

これらの会話には、
ふたつのことが隠されています。

「○○だったら、△△してください」

この「△△」という、
その人がするべき行動は、
できるかもしれません。

でも、ここでいう「○○」は、
その人にわかることでしょうか?

例えば、調子が悪くなったという状態は
どんな状態でしょうか?

もっと具体的に、
頭が痛くなったらとか、
気持ち悪くなったらとか、
そういう言い方のほうがわかりやすいのです。

それでも、まだ、
わからない人のほうが多いです。
自分の健康の変化を言える人は、
なかなかいませんね。

知的障害や自閉症の人でなくても、
調子が悪くなっているにもかかわからず、
倒れている人がいますよね?

その時点で、気づかなかったり、
気づいても大丈夫と思ったり、
気づいても遅すぎるからです。
だから、対応ができなくなっています。

わからないとか、
間違ったとか、
そうは思わないで、
事が過ぎてしまう事は、
知的障害の人には多くあります。

そして、
困っている認識もなく、
今の状態を受け入れてしまう人も
多くいるのです。

あなたは支援者ですから、
このような事態に、
ご本人から言ってほしいと
思うかもしれませんが、
あなたが想定する事態を
ご本人たちがわからなければ、
あなたに対して、
表現することはないのです。

SOSを言えないことは、
自立も遠のく事実ですが、
訴えると言うことにも
やはり支援が必要なのです。

あなたは、何をするべきかといえば、
先ほども書きましたように、
より具体的な指示をすることです。

そして、
どういう状態が、
困っている状態なのかということや、
どういう状態が、
病気という状態なのかなどを
ご本人に伝えることです。

これは、具体的な事例をもとに、
確認することです。

たとえば、
熱を測って、37度を超えた数字を見せて、
「これが熱があると言うことですよ」と確認をし、
今度この数字を超えたら、
「支援者に電話をして、休むことです」
とか、

のどが乾いたかを確認した瞬間に、
「今身体に水分が足りないってことですね!」と知らせつつ、
「こういう時は、水分を飲みましょう」とか、

「今失敗したのは、
わからなかったと言うことですね。だらか、
あれ?これでいいのかな?って思ったら
職員に言いましょうね!」

など、
今の状態を彼らと共に確認して、
「だから、△△しよう!」と促す機会を作ることです。

「それが困っていることだよ」
「それが体調が悪いっていうことだよ」
などの、事例を何度か経験することで、
ひとりでも二人でも、
自分から、「○○の状態だから△△しよう!」
と思える人を増やすことです。

そういう人が増えるとその姿を見て、
また自分のことを考えられる人も増えていきます。

自分の病気がわからなかったり、
困っていることがわからない人に、
「そういう時は言いましょう」と促しているだけでは、
支援をしたとはいえず
ただただ関わっただけと言うことにもなりかねません。

どういう状態がSOSなのかを
知っていただくことから始めて、
そういう状態の時に自分から、
支援者に表現できること。

そのステップを支援者が、
ていねいに
伝えていくことで、
困ったままになっていることが減ったり、
命が守られたりもします。

支援者から、SOSを見つけた時がチャンスです。
その時から支援を始めましょう!