健康診断のための練習



知的障害がある利用者の人の健康診断。
全ての人が受けられなかったり、
健康診断を請け負う病院・保健所・業者などの事業所の質が悪いと、
彼らは怒られたり、羽交い絞めにされたり、
受けることさえ拒否ということも起きています。

また、ご本人たちも検査の仕方がわからないために、
測定されるための行動ができず、
「測定不能」とされたり、
正しい数値が出てこないこともあり、
健康診断には、支援者の課題があります。

そこで、健康診断を受ける前に、
ご本人に対して、事前支援ができることの例を
ご紹介したいと思います。

もちろん、その際に、健康診断事業所にも
ご協力をいただくことも少し書きますが、
お一人おひとりに
なにをどうやってやっていくのかは、
検査項目の違いもあるでしょうし、
ここに書いたことをたたき台にして、
あなたもアイデアを出していただき、
取り組みをしてみてください。

事前に練習することで、
検査ができないから数値が取れないのではなく、
検査ができて、健康状態の把握につなげましょう。

 視力検査 
健康診断をするところにどんな視力検査表があるかを確認し、
できれば、鳥や犬といった形のものを使って頂けるよう手配をします。

そして、その形の認識を
練習し始めます。
言葉で言える人は良いのですが、
言葉がない人は、犬を指したら、犬のカードを手にしたり、
指さすことができるようなイメージです。

ただ、「見たものと同じものを取る」と言うこと自体に、
何工程も入ってきているので、
むずかしい人もいますが、
ご本人には何ができるかを確かめつつ、
「見えたものは何か」を表現できるようにしましょう。

片目をふさぐことが嫌いな人もいますが、
目をふさいでするゲームなどをしてみたり、
マッチングのゲームをしたり、
普段の生活の中で、
練習をしてみても良いですね。

 聴力検査 
音が聞こえたら、手をあげるとか、ボタンを押すなどの
練習をしましょう。

もっと早く!と、ゲーム性を取り入れて、
聞こえたらすぐに反応できると、より良いでしょう。

ちなみに、検査室に支援者を入れていただけない場合もありますので、
その点を健康診断事業所と相談したり、
ひとりでできるかどうかの取り組みをすることもお勧めします。

 血液検査

することを絵カードなどでみせる。
どのあたりに注射を指すかを確認する。
血液を採っている間の秒数を一緒に数えるなどしてみましょう。

注射は、
幼少のころから、嫌な体験をしている人が多いので、
無理強いをせず、何年か越しでしていくものとイメージし、
最初は見るだけとか、
そんな経験も積みつつ、
将来的に、病気になることも想定し、
今できる経験をしておくことをお勧めします。

けっして、叱ったり、
押さえつけたりしてはなりません。
ゆっくり理解して、
ご自身から受け入れられるような工夫を
していきましょう。

血液を採る時に何秒くらい必要かを
健康診断事業所と確認をしてみてください。
その秒数をいーーーち、にーーーい、などゆっくりいうことで、
10までに終わるなど、
わかりやすく提示もできます。

その他にも、
事前練習で、できることが増えたり、
健康診断事業所との話し合いで、
配慮をしていただける部分を
詰めていくこともお勧めします。

やったけどできなかったと
終わりにしている施設も多くあるでしょう。
彼らができることを組み合わせれば、
健康診断もできる項目が増えていきます。

できた時には、
「できたね」と、
今までと違っている部分を確認をして行きましょう。
そして、ご本人の自信につなげましょう。