自立生活に重点を置いた就労支援



知的障害がある人の就労をイメージした時に、
支援者が思い描くのは、
「週5日、朝からの9時間拘束・8時間勤務」
に耐えられる体力や仕事の正確性や
人との付き合い方を持ち合わせているか?などを
重視するようなところがあります。

この場合、
日中支援の支援者は、
そこしか見ていないので、
就職できるかどうかを、
自分が関わっている部分だけで
判断をしていませんか?

そして、その判断がもとになって、
「週5日、朝からの9時間拘束・8時間勤務」
を基本に探している傾向がありませんか?

知的障害がある人で、
就職を目指す人たちは、
体力もある人が多く、
支援施設に毎日必ず来る方の人が
就職のための支援の目が留まりやすく、
休みがちな人は後回しになっていませんか?

さて、私たちの支援は、
その人のトータルで考えるべきです。
5~7時間を週5日来ているので、
「週5日、朝からの9時間拘束・8時間勤務」が
できそうな気になるのです。

1日のトータル。
1か月のトータル。
1年のトータル。

このようなトータルで考えた時、
そうはいかない場合もあります。

まず、その人の24時間をイメージしましょう。

特に一人暮らしの人や
家の中で役割がある人であれば、
自分の生活を成り立たせるために、
使っている時間があるはずです。

例えば、16時に帰っている人は、
一人暮らしであれば、
家事全般をこなしているはずですし、
家の中での役割がある人は、
家の中で洗濯ものを片付けたり、
お風呂の準備をしたり、
夕飯の手伝をしたりしているのです。

そのようなことをしなくても、
1日疲れて、家に帰ったとたん、
寝ている人もいるかもしれません。

このようなに、
日中活動支援施設のなかでのことだけで
考えるのではないという
イメージを持ちましょう。

彼ら自身がトータルで
考えられない場合もあるので、
8時間働けますか?ときけば、
「できます」と応えるかもしれません。
ですから、ここは支援者が、
24時間を想定してください。

9時間(+通勤時間)
を毎日生み出すのは、
意外と大変なことです。

そして、世の中のことを思いだしてください。

全ての人が
週5日の9時間拘束された勤務を
しているわけではありません。

週3日だけの主婦
夜だけのアルバイト
家での仕事

様々な形態が
存在しています。

なぜ、彼らだけが
固定された支援者の想像力の上で
仕事探しをしなければならないのでしょうか?

私は、彼らが生活をしていくことが
まずは重要だと思っています。
生活をするというのは、
実は簡単なことではなく、
お料理にも
お風呂に入るにも
時間管理や
お金管理も必要ですし、
ご近所とのお付き合いや
体調の管理など、
私たちは簡単にしてしまったり、
臨機応変にうまく乗り切ることができたとしても、
彼らには、
家ですることと就職というものが
うまくいくかどうかは、
その人それぞれなのだと思います。

例えば、家族がいれば仕事に集中できますし、
それ以外は、家族がやればよい場合もあり、
ある意味簡単なのかもしれませんが、
今のうちに生活力をつけ、
働きながら一人暮らしも目指すのであれば、
週5日のフル勤務でなくても
他に重要視することが
あるのではないでしょうか?

その部分まで見てください。
その人は確かに仕事ができたとしても、
それは施設という支援が
ベースにあるところのことです。

もちろん人によっては
何も気にせず大丈夫な人もいますので、
それは一人ひとりに合わせたことになりますが、
「週5日のフル勤務ありき」で考えないことです。

そして、時間帯も
朝から始まる勤務ばかりではないですし、
朝からの勤務が億劫な人もいますから、
適材適所の仕事を見つけていきましょう。

キーワードは、やはり自立です。
しかも生活をトータルで見た
自立支援であることを
イメージしつつ、
就労支援をしていきましょう。