大人になってからのパニックを想像しよう



自閉症のあなたのお子さんが、
大人になった時にパニックを起こす姿を
想像した時がありますか?

今は小さいので
あなたの手の中で
パニックを収めることができたり、
抱え上げて店の外に
連れ出すことが
できると思います。

あなたがお子さんを叱ったり、
気になっているものを隠したり、
ものを与えなかったり、
教育と称して叩いたり、
お友達と引き離したりすることで、
一時的に収まっているかもしれませんが、
パニックが、将来にわたり
止まるわけではなく、
今をやり過ごしているだけです。

お子さんが、
今と同じようなパニックを
起こしやすい状態で
体が大きくなった時を
想像してください。

例えば、パニックの時に
壁を蹴るお子さんがいたとします。
お子さんは、まだ小さいので
そんなに力が無いので、
壁を蹴っても何も起きないでしょう。
でも大人の状態で壁を蹴ると
大きな穴が開きます。
そして、力の加減もわからなかったり、
相手がコンクリートだった場合、
骨折することもあるでしょう。

例えば、パニックの時に、
物を投げるお子さんがいたら、
今は小さなおもちゃでも、
大人になると、
パソコンとかテレビとか
冷蔵庫を倒すとか
そういう大きな力になるのです。

あなたを噛んできたり
ぶつかってきたりしたとしても
小さなお子さんであれば
あなたはそれを跳ね返す力を
持っていると思いますが、
あなたより身長が高くなり
体重も大きくなったお子さんを
想像してみてください。

例えば、あなたが女性で
お子さんが、男性だった場合
見上げるような身長になります。
中には、130キロぐらいの体重に
なる人もいます。

その状態で他害行為があった場合、
あなたは大怪我をするどころか
間違えば入院と言うことも
あり得る話です。

今までも、このブログの中で
パニックになってからを考えるのではなく、
パニックにならない支援を考えましょうと
お話しをしてきました。

これは、自閉症のご本人のために
書いてきたものですが、
片方で、支援者が大怪我をすることが
非常に多くあるからなのです。

パニックは支援によって、なくなります。
それは強制をしたり、
私たちが命令をしたりすることではなく、
彼にとって、
わかりやすい世界を作るという支援です。

彼らには、大きく言えば、
情報処理などに障害があることが多いのです。
私たちの言葉や行動が分かりにくく
「わからない」「困っている」と
叫んでいる状態だと思ってください。

ですから彼らのわかりやすい世界を
作っていくことが
パニックをなくすだけではなく、
彼らが持っている力を
充分に使いこなせるようになります。

人に迷惑をかけないようにと
子育てをしている親御さんは
多くいらっしゃいます。
そのための、
今までの関わり方だとは思いますが、
その場をやり過ごすような方法は、
彼らの人生には逆効果になることもあるのです。

パニックになった後に叱っても、
彼らには意味通じません。
ですから、よりよい生活の仕方を
教えていく子育てを
してほしいですし、
その際に安心・安定を手に入れ、
パニックにならないことが大事です。

これから、たくさんの支援者が
お子さんに接することになります。
世の中の人が、お子さんの障害をわかり、
その子にとってもわかりやすい世界を
支援してもらい、
パニックにならないようにするために、
あなたは、今からその子が大人になった時を想像して、
その時でも通用する支援をする
親御さんになってほしいのです。

あなたが見つけた正しい支援を
世の中の人に引き継いでいくことが
あなたの役割ではないでしょうか?
もちろん、今周りにいる支援の関係者は
手伝ってくださるでしょう。

パニックを起こしたら、
対処をするという関わりの親御さんには、
ぜひ、事前にする接し方(支援)で、
パニックにならないようなポイントを見つけることを
お勧めします。

支援方法は、何でもよいのではなく、
お子さんにとって分かりやすい支援方法に
なりますので、
スキルも学ぶことをお勧めします。

大人になった時を想像し、
怒ってばかり、
悩んでばかり
やり過ごしてばかりの親御さんから
抜け出しましょう。