自閉症の人のパニックへの注意は効果がない



パニックになると、
他害・破壊・自傷・飛び出し・大声などなど、
さまざまな様子を見せてくれます。
これについて、私は「表現」だと考えています。

さて、なぜ、パニックになったのでしょうか?

パニックになる前に、
何らかの原因があったはずなのですが、
そこをつかみ取るのが難しい
という支援者が多くいます。

原因をつかんでいる時間もなく、
荒々しいパニック状態を
収束させたいために、
支援者は、
パニックを起こした本人を
注意をし始めることがあります。

対応の仕方がひどければ、
不要な力を加えたり、
暴言を吐いたり、
脅したり、
虐待にもつながります。

たとえば、
車いすの人は、
段差を目の前にして、
「障害」が発生します。

「段差を上がりたいので、手伝ってください」
と言われれば、
支援をする部分もわかり、
車いすを押し、段差を乗り越えることできます。

さて、自閉症の人は、
支援者の関わり方や、周りの環境などによって、
「障害」が発生します。

ご本人は、何が「障害」であると
はっきり言えない状態の時が多く、
瞬時にパニックになってしまうことがあります。

支援者からは、
何か見えるものではない場合も多く、
どこに支援を入れてよいかが
わからないということなのでしょう。

自閉症の人の
「困っている」という表現の仕方が、
パニックの場合、
支援者にとっては、
悪いことをしているよう思え、
先ほども言ったような、
虐待につながるような言動をしてしまうのです。

ですから、SOSを出した人が
悪者のようになっているのです。

車いすの人の「障害」と
自閉症の人の「障害」

見えるものと
見えないもの

わかりやすいものと
わかりにくいもの

あきらかに、
支援者が対応を間違っている場面が
多くあるのです。

「支援が必要なんです」
「困っているのです」
という表現を
一生懸命しているのに、
表現方法が、
私たちと違うだけです。

そして、
困っていなければ、
パニックになりませんし、
困った時の表現方法を
パニック以外に変えることが
できる人もいます。
これも支援者の支援次第なのです。

注意をしたところで、
困っていること(障害)は
なくなりません。

ですから、同じようなことが起きれば、
またパニックになります。

注意することは、
その場を取り繕うだけなのです。

彼らの「障害」はどこにあるかを
探ってください。
原因をつかんでください。
そして、取り除くことです。

注意して納めようとすることが、
支援ではありません。
方向性を間違わないようにしましょう。
あなたの支援と虐待は紙一重です。

彼らが、何に困っているのかを
考えられるようになるためには、
事前に目を向けることです。

かならず、原因があり、
SOSを発していると思うことから始めると、
彼らの困っていることは見つけやすくなるはずです。

そして、彼らにとっての「障害」を取り除き、
彼らにとっての安心につなげられるよう
支援をしていきましょう。