知的障害がある人の作業や
生活面での支援をするときに、
最終形が大きなものになることがあります。
例えば、
大きな壁面のオブジェ作成、
織物で最終形は何メートルにもなるもの、
大きな会議室のフロアの掃除、
楽器の演奏で1曲覚えるなど、
最終形をご本人に伝えると、
「そんなものはできません」という
イメージになるようなことがあります。
例えば、私たちも
100枚の紙を数える時に、
2枚ずつ数えて、
それを50回繰り返すようなことをしますが、
そういう小さなステップが
大きなことにつながるとは、
彼らには、想像がつかず、
いきなり大きなことを見せた瞬間に
「無理です!」となるのだと思います。
私たち支援者として、
知的障害がある人に
何か新しいことを
していただくときのイメージは、
できることをするです。
この、できることをするということを
積み重ねていったり、
形をちょっと変更することで、
そのちょっとが、
彼らにとって受け入れやすい範囲なのです。
そして、繰り返すことで、
「大きなことができた」につながるのです。
大きな会議室の清掃でしたら、
範囲を決めて、そこだけをする。
終わったら次の範囲をするなど、
分割をすることでできます。
長い織物であれば、
今日はできるところまでで大丈夫という
イメージを持っていただき、
また明日も続けましょうと
促すことで、
何日もかければできていきます。
また、別な方法としては、
工程をさらに細分化することです。
1工程でしていたものを
2工程でするというイメージです。
例えば、
封筒に入れるお知らせ100枚を
三つ折りにする場合、
その三つ折りは難しいので、
まず、1か所折ることだけを繰り返しします。
それが1工程めになります。
そして、全部終わってから、
2工程めのもう1か所を折ります。
これで、紙の3つ折りができます。
このように工程を分け、
一度に何種類かの連続作業をするのではなく、
1つの作業だけをすることを
くりかえすことで、
理解の度合いは全く変わります。
彼らは、
複雑になればなるほど、
わかりにくくなるので、
自分ができないのではないかという
印象を持ってしまいがちですが、
簡単に見えるように、
提示をすると、
その積み重ねをこなすことができ、
最終的には、
とっても大きな仕事ができる人たちです。
時間がかかりそうでも、
遠回りしたほうが近道になることを
支援者がイメージし、
工程を分けてみてください。
コツコツと、同じことを
長い時間続けてできるという
彼らの強みを活かせば、
彼らにしかできないような仕事もあります。
また生活面でも、
分割したりできることに
ちょっと変化をつける形であれば、
できることも増え、
自立度も増していくことでしょう。
私たちが、
こうしなければならないという
イメージを取り払い、
彼らのできることに目を向け、
そして、彼らの強みを活かした関わりを
していくことなのです。
大きなことをした彼らは、
きっと自信につながります。
達成感があふれ、
さらに様々なことができるようになる
可能性も見つかることでしょう。