「ここ」を具体的にするマスキングテープの利用



自閉症の人には、
「具体的な指示」が
重要になってきます。

様々なあいまいな言葉で、
指示が入ると、
その意味がわからないだけではなく、
支援者が予測できない行動にもなります。

例えば、「ここで○○しよう」という言葉で、
支援者は「ここで○○していてくれるだろう」と思っても、
自閉症の人には「ここ」がどこなのか、
支援者が持つイメージとの差があり、
全く違うところで、そのことをしていたりすることがあります。

これは、
「ここ」
という言葉のあいまいさからくるものです。

この場合、
支援さの指示通りに
できなかった自閉症の人たちは、
「何でここで○○していなかったの?
探しちゃったじゃない!」
といった形で
怒られることにもつながります。

もう少し別なシーンでいうと、
「ここにおいてください」と頼まれた材料を、
支援者の思ったところにおけなかったり、
ここに並ぶが、
支援者が考える「ここ」ではないところに並んでみたり、
いろいろな指示語を指示通りにできないことは
多々あります。

さて、この場合、
自閉症の人が悪いのではありません。

指示をした支援者の、
具体性がないことが課題なのです。

あなたがイメージしたことを
相手に伝えたとしても、
あなたの頭の中で
何を考えているかが
わからない訳ですから、
指示語をもっと具体的にして、
彼らがわかりやすくすることなのです。

「ここ」くらいわかるだろう?
と思われるかもしれませんが、
想像力・応用力に
困難さを持った自閉症の人に
「ここ」というイメージや、
さまざまなあなたの頭の中で
考えていることはわかりません。

そこには、文字化してみたり、
イラストで「ここ」を示したりするほうが
より具体的です。

ただ、そのイラストや文字を簡単に示すことが
できる人ばかりではありませんので、
私は、マスキングテープを使うこともあります。

これなら手で切れますし、
はがしても、
くっつけた素材に影響がないので、
どこでも使えると思われます。

例えば、
「ここ」といいたいところに、
マスキングテープを印をつけると、
「ここ」がわかります。

並ぶ場所も、
いるべき場所も
線を引くかのごとく、
床や机に貼ったり。

物を戻す時に、
わかりにくいのであれば、
マスキングテープを貼って印としてみたり、
物の名前を書いて貼るなど、
様々な用途で使えるのです。

いるべき場所を決めたり、
机を戻す時に使えるように、
あらかじめ床に
貼っておくなどもできますね。

あなたの指示内容を
よりわかりやすくできます。

言葉を使い過ぎて
分かりにくくなることもありますので、
自閉症の方に「ここ」ということの
通じなさを感じたのであれば、
マスキングテープを
指示の補助として使ってみてください。

自分がいるべき位置を示すのに有効なので、
例えば、災害時の避難先で、
急な変化に対応するためにも
防災グッズの中に入れておくと、
いざという時に役立ちます。

あなたが指示することの伝わりにくさで、
イライラしないためにも、
こんなグッズも補助的にお使いください。