利用者がトイレにこもってしまう



知的障害がある利用者の人が、
施設の活動中に、
何度もトイレに行くことが
ありませんか?
 
職員からは、
「さっき行ったでしょ?」
と言われますが、
それでも、
行きたいという意思を示し、
行けば、排泄をしています。

また、一度トイレに入ると、
長時間個室に入り、
そこから、
なかなか出てこない人もいます。

休み時間も終わり、
活動が始まっているのに、
出てこないので、
呼びに行くと、
トイレの中から
歌声が聞こえることもあります。

こういう行動がみられると、
職員は、
「良くない行動」として、
見ると思います。

集団行動を
取れていないからという意味でしょう。

なぜ彼らは、
何度もそして、
長時間に渡り、
トイレに行きたがるのでしょうか?

ほとんどの場合が、
生理的現象よりも、
逃げ場や居場所としての
使い方なのではないかと
見受けられます。

このような時は、
無言ではありますが、
何か嫌なことがあった時も多く、
職員にも告げずに、
誰に文句を言うこともなく、
トイレに入っているようなのです。

では、その嫌なこととは
何でしょうか?

もちろん、
活動内容であったり、
音や人間関係、
やりたくないなど、
ほとんどが、
今まさに嫌なことが
起きていると言うことのようです。

その場から逃げるという
絶好の場所であり、
鍵のかかるトイレに行くという
技でもあります。

でも、
このようなとき、
トイレに行くことは
止めることはできません。

全てが、
生理的現象ではないとは
言い切れません。
おなかが痛くなる時など、
一度トイレに入ってもまた、
すぐに行きたくなることは
誰にでもあります。
どちらか判断はつきにくいですね。

そして、嫌なことから
逃げることができるのは、
生きていく上で必要なことです。
逃げられないで苦しむのではなく、
逃げることができるのは、
人生にとって重要なスキルです。

逃げたいことがあるわけですから、
本来であれば、
嫌なことがあったことを
職員に伝えることができれば、
もっと良いのです。
そして、それはトイレでなくても、
避難場所として、
施設の中で
確保できるとよいと思います。

本来はそうですが、
その伝え方は誰でも
慣れていなければ、
苦情は言えないと思います。

ですから、
無言でトイレとなるのでしょう。

もし、そういうことがあった場合は
嫌なことがあったと想定して、
職員が、その嫌なことを取り除きましょう。

「がまんしなさい」というようなことや
「集団に合わせるべきだ」
という持っていき方は、
やはり、ご本人主体とはなりません。

もともとその施設に入りたくて
来ている人ではないという前提で
ものごとを考えてみてください。

誰かに言われて、
自分の意思ではなく、
入っている人が非常に多いのが
知的障害者施設です。

そして、活動も
用意されたものしかなく、
ご自身が好き好んで
やっているとは限りません。

活動時間にしても、
決められた時間で、
決められた方法で、
そこに合わない人が
いてもおかしくは
ないのです。

逃げているだけ、
良いと思いましょう。
そして、そういう行動を
する人がいる事実を受け止め、
対処をしていきましょう。

その人が集団に合わせるように
という対処ではなく、
ご本人がより心地よい
日常になるための対処です。

これこそ、ご自身で、
ご自身の気持ちを
言えていないわけですから、
職員が、利用者個人に合わせ、
その方が、来たくなるような、
そして、逃げるという方法ではなく、
活動する場所にいることが
できる施設づくりを含め、
考えていくべきことです。

集団論理で、きれいにまとめ、
ご本人の辛さに
寄り添えないということのないように、
ていねいに聴き取りや
意思確認をして、
改善できるところは、
改善をし、
トイレに逃げている状態を
取り除けるように
していきましょう!