待っている時間を減らす工夫をしよう



福祉施設での
知的障害がある人は、
職員から支援を受けつつ、
様々な作業や活動をしつつ、
1日過ごしていくことが
中心です。

利用者何人かに対して、
職員が1名ついて、
活動が行われますが、
生活介護施設など、
介助度・支援度が高い人ほど、
職員とする活動が多く見られます。

集団の活動が多く、
例えば、6人の利用者と2人の職員で、
活動をする形を
とることになります。

このとき、
特にマンツーマンに近い支援が
必要な人がいますので、
マンツーマンでなくても大丈夫な人は、
支援が行き届かないこともありますし、
その間、実際は何もせずに
「待っている状態」のことが
多くなりやすいのも事実です。

たとえば、6人の利用者と2人の職員の場合、
ひとりの職員がひとりの利用者の
トイレ介助に行くことで、
残ったのは5人の利用者と職員1名になります。

この状態で一人の職員が
何かをできる状態ではないとなると、
5人の利用者は、
トイレに行った利用者の帰りを
待つことだけになります。

たとえば、公園などを散歩している時であれば、
ひとりのトイレの最中、
5人はベンチで待っている。

そのあと、また別な人がトイレに行けば、
またさらに待っていることになります。

待つことになれている利用者の人は、
ただ椅子に座って
ボーっとしているような状態となりやすく、
1日の中でも、
その人に見合った活動量もなく、
存在感がない状態にもなりやすくなります。

本来、非常に良くない状態で、
介助度が低い人ではありますが、
支援が必要ないわけではないのです。

ところが、介助度が大きい人の、
そばにいることが多くなるので、
そういう人にまで支援をする手が
回らないと思い込んでいる
職員もいることでしょう。

せめて、自分一人でしてよいことを
していてよい状態であれば、
ただ「待つ」ことで時間を過ごすのではなく、
自分で活動を組み立てることもできるのです。

例えば、好きな本が置いてあるとか、
音楽を聴くことができるとか、
何か書くことができるような
文房具が揃えてあるなど、
自分だけでできる活動のもとが
あることで、
活動のメリハリにもなりますし、
職員がいなくても
ひとりで楽しんでいることができ、
さらにはできることが増えることもあるわけです。

1日の中で、
その人は、どのくらいの時間を
「待つ」に費やしているでしょうか?

そんなことも考えたことがない
職員もいることでしょうし、
わかっていながら、
どうしても待たせるしかないと
思っている職員もいることでしょう。

ですから、
まず、
「待つ状態」になれている人を
客観的に見て、
その人にどれくらいの時間、
ひとりでできることの提供ができるのか?
という視点に立ってみてはいかがでしょうか?

それと同時に、
ひとりでできるための
活動や道具などの提供をしていきましょう。

ひとりで活動することが、
安心・安定につながります。

そして、
心地よさにも通じます。

そのうえで、
支援者は、
介助度が高い人ばかりではなく、
介助度が低い人にも
必要な支援をバランスよく支援していく
ことができるようになっていきます。

ひとりででも、
何かの活動をしていることで、
職員のかかわりは増えていくからです。

まずは、
活動の提供。
そして、介助度の高い人だけではなく、
介助度が低い人にも必要な支援を展開。

そうすることで、
待っているだけの時間を減らし、
個別支援計画に基づいた、
支援の提供につなげましょう。