できるようになったやり方をわすれてしまった時の支援



完璧に覚えた
作業があったので、
その次の作業を教えたところ、
今まで覚えていた作業を
全くといっていいほど、
忘れてしまう事があります。

あそこまで完璧に覚えていたのに、
まさかと思うようなことです。

そんな大胆な忘れ方なので、
支援者にとっては、
まさか、今だけっちょっと忘れたのでしょう?
とも思えるようなことなのですが、
本当にすっかり忘れています。

つまりこういうことです。

Aという作業ができた。
支援もいらないくらいに一人でできている。
そこで、Bという作業も教えた。
ところが、
Bは覚えられたのだけど、
今度はAを全く忘れてしまった。
ということです。

ですから、
Aをしていただこうとすると、
まるでAを覚えようとしているときのような、
半ば混乱しているような状態。

さて、この時に、
覚えていたでしょ?
などといっていても無理な話です。

思い出そうとしても、
もうすべてがわからないくらいで、
かえって混乱してしまう。

彼らの記憶の入れ物の範囲を越し、
もうこれ以上はいらない。
だからぎゅうぎゅうづめのところに
入れようとしたら、
最初に入っていたものが出て行ってしまった。

そのようなイメージを
持っていただけるとわかると思います。
もうこれ以上覚えられない。

そういう時はどうすればよいのか?

私の場合は、
Bをなかったことにしてもらい、
またAから始めてみます。
なぜなら、Bはこれから
教えようとしている部分だからです。
そこに時間をかけるより、
Bを忘れてもらって、
Aを思い出してもらう。

つまり、
最初に戻るということです。

そして、Aを完ぺきに一人で
できるようになっていたわけですから、
こちらは、またすぐに覚えられるでしょう。

もし機会があれば、
またBをお教えできるかもしれませんが、
もしかしたら、かなり時間を空けることも
検討するべきことだと思います。

彼らの「覚える」というスキルは、
どんどん何でもできるものではありません。

やれること、
やるべきことはもちろん考えると思いますが、
やれるけど省くべきことという視点を
支援者は選りすぐることをした方が
良い場合もあるのです。

何を覚えていただくか?
何を覚えずに、支援者で代行するか?

また、治具があればできるのか?
指示書があればできるのか?
何があってもできないのか?
こういった工夫は必要です。

彼らの努力で、何とかなることではありません。

そんな細かな観察で、
スモールステップの関わりで、
その人の持つ力を充分に活かせるように
していきたいものです。

一旦忘れてしまったらリセットしましょう。
最初からやり直し。

仕切り直しをし、
できたことが、これからもできるように、
できないことは、支援を入れていけるように、
していきましょう。

忘れたことは、
いやできるはずだ!などと、
思い込み過ぎないことです。

だれにだって、
範囲を超えてしまう事は
あります。

ちょうどそういう部分だったのだと
理解していきましょう。