知的障害がある人たちは、
自分の健康がどういう状態なのか、
それは大変なことなのか、
そういうことが全く分からない人が
多くいらっしゃいます。
熱が38度超えても、
まったくいつも通りの人もいます。
骨折していても大丈夫という人がいます。
今、
痛いとか
辛いとか、
そういう表現もできない人がいます。
病院に行くまでもなく、
何か変だな?
ちょっとおかしいな?
と気づけることが本当に大事なのですが、
どうしてもわかりにくいようです。
お正月になると、
もう少し早く
出会っていたかったと思い出す人がいます。
熱が高く出ても、
「平気」と言って、
休むよう言うお母さんを困らせ、
施設に来てしまう。
そんな彼に、
体温計の数字が37度を超えたら施設を休み、
布団の中に入って寝ているようにと
支援を始めたのです。
春に出会い、
秋ごろには、熱が出たときに、
施設を休むことが
できるようになってきました。
その支援による変化に、
職員たちとも喜んでいたのです。
そして、1月5日。
お正月休み明けという日。
彼が亡くなったという電話が入りました。
冬休み中に風邪をひいて熱を出し、
親が病院に行こうと言っても聞かず、
いつも通りにしていたのでしょう。
最後の日、辛くなったのか
自分から病院に行くといい、
玄関を出たところで倒れ、
そのまま亡くなってしまったのです。
もう少し早く出会っていたら、
もっと違った支援ができていたと思うと、
毎年、この時期に思い出す出来事です。
彼らの健康に関して、
私たちができることは何か?
知的障害という彼らに理解できるように、
「健康は自分で気にすることなんだよ」と
ご本人にわかっていただくことは、
ものすごく大事な支援だと思っています。
血圧が高かったり、
糖尿病だったり・・・
簡単にさまざまな病気になりやすいので、
ならない工夫も必要ですが、
なってしまった方には、
薬を飲めばいいということではなく、
状況の改善をできるように
支援をするということです。
自分から、病気はよくないことに気づき、
自分から、
不健康なものは省こうと思えるような気づきや
身体にいいことをやろうと思える機会を
作らなければなりません。
痛い
苦しい
ちくちくする
下痢だ
血が出た
熱だ
いつもと動きが違う
痒い
腫れている
などなど。
大きな病気につながらないための
訴えも大事です。
これらは、
一人の力でできないことが
多くあるだろうと思うことであり、
その人その人にあった支援が
必要ということです。
どうやって、具合の悪さを覚えてもらうかは、
具合が悪い時にも、
今の状態が辛いという状態だと
わかってもらうことも大事ですし、
身体がいつもと違うな?と思うことが起きたら、
支援者に、自分から言えるようにと
つなげたいところです。
また、お酒やたばこなどによって、
それに関する病気を持っているときには、
自分で「やめる」という決断をしたり、
やめないということは苦しい状態や
大きな病気につながるものという覚悟も
ご本人に理解していただく必要もあります。
もちろん、全く意思表示ができない方であれば、
支援者が気づいていくべきことですね。
訴える。
改善する。
この二つとも、
彼らだけではできないことですが、
日ごろから、話題にすることで、
自ら訴えたり改善できた方もいます。
病気になりにくい身体づくりや
病気になった時に、
はねのける身体も作りつつ、
変だな?と気づけるよう、
また、病気につながらない工夫ができるよう、
日々の支援の際からその人にあう方法で
健康への意識にも、
重点を置きましょう!