自閉症支援:ビニールテープを使った場所の確保



身体が大きい自閉症の人が、
私の施設に入ってきました。

身体が大きいだけではなく、
行動も大きい。
例えば、歩くときの歩幅や、腕の振り方などなど。

さらに、朝の作業室でやっているラジオ体操の時に、
その人がブンブンと手を振っているものだから
こわくて、小さな女性利用者が訴えてきました。

「あの人危ないんだよ!怖いよ!」

そこで様子を見てみると、
部屋に皆さんが散らばって体操をするのですが、
距離感がうまくつかめず、
最初は近くにいて、
その方が手を横に振る時に、
あわてて逃げる感じ。

確かに両手を広げたときのリーチは、
身長分あるわけですから、
相当広い場所を使い、
他の利用者が、
逃げている感じです。

そこで、他の利用者との共存を意図とし、
その方が体操をする場所を決め、
床にビニールテープで1メートル四方くらいの四角をはりました。

その方に場所を教えたところ、
その日からそこで体操ができるようになりました。

そして、他の利用者も、そこがその人の場所だという認識で、
そのあたりを広くあけて、手が当たらないようなところに
位置して体操をし、表情も安どの様子でした。

ただ、私の貼った1メートル四方くらいでは、
その方にとっては小さかったようです。
もちろん、その中から出ることは考えることはできなかったようで、
足の開き方が小さくなって体操をしていたので、
すぐに張り替えて、
その方の足の開き方に合わせた大きさにしました。

このあたりが、ビニールテープの良さです。
簡易に、場所が確定でき、
張替も自由にできます。
今なら、マスキングテープも使えますね。

様々な利用者同士で共存をするときに、
様々な場面で使える方法です。
また、野外でも、「ここ」という場所を
確定するのにも使えます。
長机での作業の際の物の置場の確定などにも使えますし、
ビニールテープは、「位置」を決める時に使えますので、
備えておきたいアイテムです。