自閉症支援:行動を止めることの影響と支援方法



支援者が、
よくしてしまうことの1つとして、
その人の行動を止めるということがあります。

その人が何かをしているときに
よくないと思ったり、
またやってると思ったりして、
声をかけ、やめさせようとすることです。

支援者としては、
良かれと思ってやっていることです。

でも、その止めるという行為のため、
自閉症の人たちが、
混乱をしていると言うことを
ご存知でしょうか?

私たちを
例にとってお話をしましょう。

おいしい食べ物があり、
楽しみに全部食べようと思った矢先、
他の人から
「食べ過ぎだよ。
残さなきゃダメだよ」
と言われた時、
あなたは、
どんな感情になるでしょうか?

楽しく友達と遊んでいて、
あとちょっとしたら帰ろうかな?
と思っている矢先に、
親から連絡が入り、
「早く帰ってきなさい」と
言われたらどう思うでしょうか?

言ってきた人や言ってきたことに対し、
嫌な感情が生まれるのでは
ないでしょうか?

このように
自分が何かをしようと思い、
そのことについて
行動しているときに
横やりが入るような状態は、
「止められたこと」になりますよね?

私たちでもそういうことは、
周りの人からされることですが、
そのたびに、
なんだか嫌な感情になり、
気を静めていたり、
自分を納得させたり、
反論したりするはずです。

さて、それを、
自閉症の人にした場合、
どうなるかということです。

納得しにくいという、
感情的な部分は
同じだと思ってください。

じゃあ、気を静めたり、
自分を納得させたり、
反論したり、
という部分はどうでしょうか?

言葉がない人もいますし、
言われたら、
そうしなければならないと
思う人もいるでしょう。
イライラ感は存在し、
どう解釈してよいのか
わからない可能性が大きいですね。

さらに、私たちと大きく違うことは、
「急な変化」や
「スケジュールの変更」に
障害があるということです。

自分の中で組み立てをして、
そのことをしている最中に、
相手からアクションが
入るということは、
「急な変化」となります。

もともと急な変化に弱い人たちですから、
パニック状態に陥りやすくなります。

また、
「スケジュールの変更」
にもなります。
常に将来に不安がある人たちですから、
スケジュールが変わることに、
不安になります。

つまり、
彼らが何かをしているときに、
急にそういうことが起きると、
パニックになりやすいということです。

ですから、
危険でなかったり、
日常生活に支障がない限り、
ことが始まってしまったら、
停止するのは、
避けたいところです。

でも、
いつ終わるかわからないような
ことでしたら、
先にスケジュールとして、
そのことの後の予定を入れてみたり、
途中に入れるとしても、
「あと○分後に終わりにしましょう」
など、予定の組直しをする方法のほうが、
パニックには、なりにくくなります。

私たちでも、急に言われたら嫌ですが、
最初からそういう予定が入っていたら、
そのほうが
組み立てやすいのと同じです。

自分だったらどうかな?と思うと
少し自閉症の方の気持ちも
わかってくるかもしれませんね。

そして、不用意に、止めることは
避けていきましょう。