支援を受けようと思える瞬間を作る



私の知っている
自閉症の人で、
たまにしかしない作業を
支援者から説明をしようとすると、
「わかっているから」と、
説明を受けることを拒否する人がいます。

人と関わるのが、苦手な部分もある人ですが、
関わりを支援者側からしようとしたときに、
支援者との関わりをしない方向の
手段として使っているよう
見受けられるのです。

でも、実際にやってもらうと、
覚えていなかったり、
間違ったりするわけです。

となると、
やはり、支援者から説明が必要となり、
説明は聞きますが、
途中で、
「もういいです」などを言いつつ、
「自分はあなたに支援してもらわなくても
できる」と主張しているかのようです。

関わることを最小限に抑えたいという行動の
一つなのかもしれません。

この関わりの不具合は、
一旦支援者とのかかわりを
自分で拒否をしながら、
支援を受けざるを得ない状況ですし、
さらに、支援者から関わる状況になり、
ご本人の納得しない関わりになっている
可能性が高いのではないかと見受けられます。

さて、ある日も
「やり方がわかりますか?」
と伺うと、
「なんとなくわかる」
とおっしゃったので、
ここは本来、
やり方の説明になるのかもしれなかった部分ですが、
なんとなくわかるのだから、
どこまでわかるのだろうか?と思い、
「では、説明してください」
と話すと、
説明を始めたのです。

でも、
やっぱりやり方は、ほとんどわからず、
「説明しましょうか?」
と話すと、
「そうですね。
説明してください」

という会話になりました。

前者(改善前)の関わりと、
後者(改善後)の関わりは、
全く違います。

支援者から、
勝手に支援と思って関わるのと、
ご本人が支援をしてもらおうと決めてから
支援をする違いです。

もちろん、最後まで
説明を聞くことができました。

さて、
あなたの周りの人を振り返りましょう。

もちろん、このように
ご自身の言葉で話してくださる人ばかりとは
限らないと思いますが、
この人が、
良い事例を見せてくださったので、
ヒントにしてみましょう。

人との関わりに
嫌な感覚がある人で、
このようなやり取りをする前に、
パニックになっている人もいることでしょう。

支援者としては
何が原因なのかがわかりにくく、
「せっかく説明しているのに」と
いいたくなる人もいるのではないでしょうか?

支援を
押し付けているのか?
相手から求められて、
支援をしているのか?

同じことに対しての支援でも、
順番が違うと
ご本人の気持ちの移り変わりにも
変化があるのです。

特に言葉がない人で、
パニックになりやすい人への
支援に行きつくまでの順番は
間違っていないでしょうか?

順番が間違うだけで、
パニックにもなります。

セミナー
「自閉症のパニックを
ゼロにする12の方法」
でも違う事例ですが、
支援の順番の違いで
パニックになりやすいという話を
しているところですが、
タイミングや順番の違いで、
ご本人の受け入れ方がまったく変わるのです。

ということは、
順番を間違えなければ、
パニックにはならないと言うことです。

彼らの受け入れは、彼らの人生の中にあります。
私たちから押し付けた支援は、
必要な支援であっても
受け入れにくい場合もあるのです。

そして、先ほどの人の場合、
自分が理解していなかったことも、
こちらの「やり方がわかりますか?」という質問で、
自分で気づくことができています。

わからないかどうかも
自分で確認できる質問だったようですね。
だからこそ、支援が必要と感じ、
欲しているわけです。

パニックにさせて
支援がうまくいかないと言うことは、
避けたいですね。

困ったを自分で分かり、
支援を依頼して、
支援をしてもらう。

支援の順番を間違えなければ、
より良い支援につながります。

<参考>
セミナー動画「自閉症の方のパニックをゼロにする12の方法>
「12.気持ちがスタートする前に言う」