私が大事にしているひとつに、
「言葉」があります。
自分が発した言葉が、
相手にとってどんな感情で
受け止められるのかを
考えつつ、
発するようにしています。
人によっては、
話した後で伝わらなさを感じることもあり、
効果的ではないと思うこともありますが、
だからこそ、工夫をしたいと思うのです。
さて、
障害者支援の現場では、
虐待が大きな問題として、
改善を図るために、
法律が出来たり、
虐待防止センターが出来たりしていますが、
まずは、自分がしないことが大切ですし、
もし、してしまっている人がいる職場であれば、
させないことも
必要となってきます。
実は、虐待をしている人は、
自分が今、虐待をしていると
思っていないこともあり、
まさか自分が虐待?
と思うこともあるようです。
と、言うのは、
行動障害の人に対しての虐待が
多く報告されていますが、
行動障害の人の支援中に、
良かれと思ってやっていることが、
段々にエスカレートしてくる瞬間があったり、
行動障害の人のまちがいを正す
というイメージで支援をしている人は、
虐待を起こしやすい状態なのです。
その人が支援だと思っていても、
虐待になった瞬間、
周りにいる人も、
「それは支援なのだろうか?支援だよね?」
という感情も生まれやすく、
たとえ、「虐待だ」と思ったところで、
話を始められない人も多いようです。
「虐待を見たら通報」ではありますが、
虐待かどうかの判断しなければならないと思ってしまい、
「通報」にも届かないことも多いでしょう。
現場ではこのような課題があるわけで、
その中でも、
相手と接することで、
今起こっている虐待を
止めるのは、
気づいたあなたからになります。
さて、セミナーで
「虐待をしていると思われる人に
どんな言葉をかけますか?」と、
ワークをしていただくことがあります。
この時の止める側が、どんな言葉を使うか?
たとえば、
虐待をしているつもりがない人に、
「虐待だよ!」といったところで、
反発されるだけではないでしょうか?
反対の立場になってみると、
よくわかると思います。
自分が良かれと思ってやっている支援の最中に、
それを否定される言葉を言われたら、
あなたはどんな感情を持つでしょうか?
相手の行動を否定することは、
効果的ではないのです。
ですから、
「言葉の効果」を
考えつつ、
言葉を使うべきだと思うのです。
相手と、仲たがいをしたら、
効果的ではありません。
その言葉を話した後も、
その人とは一緒に仕事をすることになりますから、
人間関係も考えてしまうことにもなりかねません。
では、
どんな言葉が効果的でしょうか?
ワークでの皆さんのご意見を伺うと
見えてきた物があります。
自分が間違ったことを
お小言いわれるのは嫌ですよね?
そのイメージです。
しかも、虐待した相手に、
悪いことをしているという指摘するモードだと、
「こんな言葉はかけてほしくない」
というような感情になりやすくなるようです。
たとえ、一生懸命考えて、見つけた言葉でも、
それを、自分が投げかけられたら、
嫌だと感じる人も多くいました。
それは、どういうことでしょうか?
自分が正しいと思う気持ちや
相手が悪いと言う気持ちで相手に接すると、
相手の心に、自分の言葉が響かないのです。
ですから、もう一度同じワークをしました。
今度は、
虐待を止めるのは、
虐待している人を助けるのだという気持ちで
言葉を発してもらいました。
なぜなら、虐待をしている人は、
利用者にとって良い支援をしたいと思っている人が
多くいるからです。
だから、「虐待をしている相手を助けるために、
どんな言葉を発したらいいか?」
と切り変えていただきました。
歴然とした違いがありましたね。
「どうしたの?」
「何かあったの?」
など、相手の言葉を待つ
質問形式になる人も多くいました。
自分の言葉の良し悪しは、
自分が決めるのではなく、
相手の感情が決めるものなのです。
相手に伝わらなければ、
意味をなさないのです。
つまり、虐待は止まらない。
だから、虐待を止めたいなら、
ただ単に言葉を発していては、
だめだということがわかります。
あなたが、虐待をストップさせたいなら、
罪を憎んで人を憎まず、
その人を助ける気持ちで、
言葉を発していってほしいと思います。
相手が気づけば、虐待はなくなります。
まず一つ。
あなたの言葉を変えて、
虐待を止めましょう!