作業をせずに作業支援をする



知的障害がある人の日中活動支援施設では、
「作業」を提供している施設が
多くあると思います。

この作業を提供し、
工賃を得ていくことが、
「自立」の一つであり、
私たちは、作業をするという場面や
作業にまつわるお客様とのやり取りにも
支援をしていくことになります。

ただ、最終的には、
できる部分をご自分でできるようになっていただき、
利用者全員で、
作業の100%中のすべてができるようになれば、
理想の形になると思います。

その中で、私たち支援者が、
何を一番に大切にするべきかは、
利用者の皆さんが、
作業の上で「自立」することです。

この自立の中には、
経済的自立がありますので、
職員が、一生懸命作業をして、
(しかも中には残業までして)
工賃額をあげることに
集中している施設があります。

また、利用者の皆さんに、
時間つぶし的に作業をさせて、
不良が作られても、あとで、
職員が直せばという考えだったり、
売れない商品ばかり作らせて、
時間つぶしをさせている施設が、
あります。

こういうことは、
「作業支援」の意味を
間違った解釈になっていることが
原因と思われます。

私たちがするべきことは、
一人ひとりに合わせた、
作業支援になります。

できるようにするために、
間違いを減らすために、
生産量をあげるために、
技術を向上するために、
より良い製品ができるためになど、
目標に向かって
支援をしていくことになります。

ですから、
利用者の皆さんができないから
職員がやります!では、
支援の意味が変わってしまいます。

あなたは、作業そのものをするために
その職業についたのではありません。

利用者の皆さんが、
作業をしやすくするためにあなたがいるのです。

たとえば、
環境を整えたり、
道具をそろえたり、
流れ作業が順調かをチェックししたり、
人間関係を調整したり、
業者との作業スケジュールを組んだり、
行程分析・分解をしたり、
冶具を作ったり、
やりやすいやり方を開発したり、
指示書をつくったり、
それを一人ひとりにわかりやすく説明したり…

そういうことが「支援」です。

中には、この工程が
どうしても利用者にはできないからと
肩代わりにすることもありますが、
ゆくゆくは利用者の皆さんで
できるようになるよう
取り組んでいく部分です。

最初に取り組んだ時に、
利用者にはできないからと
職員が始めてしまうと、
ずっと職員仕事になっている施設も
けっこうあるのではないでしょうか?

できない部分が
できるようになる瞬間は、
あなたが作り出すのです。

作業現場の裏方として、
利用者の皆さんの作業をするときに、
できる部分が増えるように
また、支援者自身が作業をしていることで、
支援をしたつもりにならぬよう、
作業支援の意味を
改めて考えていきましょう!